【vol.020】 久米忠史の奨学金コラム [2012.10.05]
Uターン就職すれば返済免除 地方自治体の取り組み
昨年、香川県が地元にUターン就職した学生には返済金を減免する新たな奨学金制度を設けたことを当ブログでも紹介しました。 この奨学金は100名程度の採用枠を準備していたのですが、ふたを開けたところ数千人の応募が殺到したようです。
当然ですが、それだけ奨学金を必要とし、同時にその返済金の負担を不安に感じている学生が多く居るということでしょう。
香川県の成功例を参考にしたのでしょうか、兵庫県の加西市も同様の制度を来年度から実施するようです。
2012年10月01日 リセマムの記事より
~加西市が来年4月から奨学金返還額の3分の1補助制度スタート~
奨学金の返還滞納が社会問題化する中、兵庫県加西市は2013年4月から、奨学金返還額の3分の1を補助する制度をスタートさせる。
若者のUターンなど、人口増や定住促進を目指した初めての施策。自治体が奨学金返還分を補助する事業は全国的にも珍しく、注目を集めそうだ。
対象は、日本学生支援機構などの奨学金を借りて大学、短大、専門学校に進学した者のうち、2012年4月以降に返還を開始した同市在住者、または2012年4月以降に同市に住民登録した者。
高齢化、若者の流出による過疎化・・・。
地方の高齢化問題は、都市部のそれと質が異なり、より深刻な課題と言ってもいいでしょう。
地方の活性化に絶対に欠かせないものが、人材です。
そのためには、若者が故郷に定住したいと思うインセンティブが必要です。 ネット社会となった現在では、地方に居ながらでも中央とビジネスを行うことは十分に可能です。
国の奨学金施策が若者を借金漬けする方向に向かっている今、もしかするとこの地方行政独自の取り組みは人材確保のためのひとつのチャンスかも知れません。
国の奨学金行政議論となると「受益者負担」云々が相変わらず続いて全く話が進みませんが、地方のように行政区域が小さくなれば全く進展スピードも変わってくるでしょう。
もしかすると、奨学金に対する地方独自の施策も地方分権の一つのアピールポイントになるのではないでしょうか。
他の自治体もこれらの動きに続いて声を上げることを期待しています。