2014年06月16日
沖縄県では、独自の給付型奨学金の創設に向けて受験生・保護者への意識調査を始めるようです。
検討されている奨学金は県外大学への進学者を対象とし、その財源は沖縄振興一括交付金と推察されます。
沖縄県内には理系学部を持つ大学が琉球大学だけしかないほか、いくつかの国家資格を目指すには県外に出るしかありません。
そうは言っても、高額な私立大学の学費と生活費を考えると、費用面で多くの家庭では諦めざるを得ないのが実情でした。
今回の給付型奨学金の創設は受験生や保護者にとっては朗報ですし、ぜひ他府県のモデルとなるような奨学金の仕組みを作り上げて欲しいと心から願います。
沖縄の自主・自立に向けた一括交付金・・・
いまだにハコモノ等の公共工事に血税が注がれている面もあるようですが、人材育成に直結する奨学金に目を向けてくれたことを嬉しく思います。
しかしながら、心配が全く無いわけではありません。
このブログで何度も書いていますが、進学費用対策は大切ですが、それ以上に重要なことが進路のミスマッチを避けることです。
数年前から、沖縄県の学生には学費を半額にするなど沖縄特別奨学金制度を設ける県外大学が増えていますが、その中の一部には教育環境が整っているとは言い難い大学もあります。
なぜ、それらの大学が沖縄の学生だけに学費の大幅減免を行うのか、その理由を想像してもらいたいです。
今回の給付型奨学金が、沖縄特別奨学金を設ける大学への更なる学生集中につながってしまうと、本来の目的である人材育成の意義が半減してしまう可能性があります。
そのようなアンバランスを生み出さないようにし、受験生や保護者が等しく恩恵を受ける制度とするためにも、机上論ではなく現場の声を反映させた制度作りが求められています。
「学費だけでなく生活費も含めた支援」「納付金に応じた支援額」「支給開始時期」「入学前の納付金対応」etc・・・
沖縄の将来の人材育成を見据えたうえで、多くの奨学金制度が見過ごしている項目に対しても、取り組んでいただくことを期待しています。
久米忠史プロフィール
1968年生まれ 東京都在住
奨学金アドバイザーとして2005年から沖縄県の高校で始めた奨学金講演会が「分かりやすい」と評判を呼び、 全国で開催される進学相談会や高校・大学等での講演が年間150回を超える。
公式サイト「奨学金なるほど!相談所」
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