2015年06月25日
今年の1月に某広告代理店から以下の相談メールが届きました。
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【依頼事項】
企業での奨学金制度の設立方法について教えて頂くことは可能でしょうか。
【経緯】
弊社のクライアント様に、奨学金制度の設立をご提案しようと考えておりまして、設立にあたっての具体的な作業や段取り、応募資格において盛り込んで良い条件・いけない条件等をお伺いできればと考えております。
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これまでも何度か奨学金創設を検討している企業や関係者から相談を受けたことがあったので、2月に上京した際にご連絡頂いたご担当者と面談させて頂きました。
そこで、初めてクライアントを教えられたのですが、世間ではいわゆるブラックとして悪評の高い上場企業でした。
奨学金制度を設ける目的は、当該企業で働く人材の確保であり、日本人が難しければ外国人留学生でも良いとのこと。
実は知人がこの企業のオーナーとは面識があり、ブラックと世間でバッシングされるよりも前に知人を通して当該オーナーの人柄について話を聞く機会がありましたが、正直吐き気がしました。
当該オーナーの姿かたちは確かに人間でしょうが、本質は“悪魔”だと思いました。
そのことがあったので、広告代理店の担当者にも正直に気持ちをお伝えしました。
「オーナーさんが事件やトラブルを通して反省し、困っている学生のために良い制度を作るのであれば協力したいですが、弱者の弱みに付け込むのであれば協力できません」
その後4月に以下のメールが届きました。
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2月に●●●●●●様向けの企業での奨学金制度設立に関して相談させていただきましたが、先週、当方の●●がクライアント広報部の部長に本件の会話をさせて頂き、是非提案をしてほしいということになりました。
つきましては、来週末に広報部長向けに提案を実施しようと考えておりまして、企業内での奨学金制度の設立手順や設立スケジュールをおおまかで構いませんので、
ご教示頂けませんでしょうか。
既に来週金曜にお時間を取っており、また、久米様も全国を回られていらっしゃると思い、再度お会いさせて頂いてのご相談が難しいかと考え、メールにて連絡させて頂きました。
実際に設立という形に進みましたら、弊社は広告代理店ですので、付随する紙媒体等の制作や告知などで、久米様にはお力添え頂ける部分でビジネスとして進めさせて頂ければと考えております。
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それに対して、以下のメールを返信させて頂きました。
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㈱●●●●●●●●
●●営業本部
●●●様
ご無沙汰しております。
ご面談時にお話させて頂いたように、当該企業のオーナーの人間性に疑問を持っています。
本当の意味で学生の役に立つ制度を作ろうとされるのであれば、ぜひお手伝いさせて頂きたいと思いますが、奨学金という飴を用いた人買いが目的であるならば、申し訳ございませんが、ご遠慮させて頂きたく思います。
奨学金は学びをサポートするものであるべきだと思います。
決して杓子定規に考えている訳ではありませんが、奨学金というテーマの末席に関わる者として、見誤ってはならない点があるということを何卒ご理解頂きたく思っております。
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残念ながら、このメールへの返信はありませんでした。
今回敢えてメールのやり取りを公開したのは、奨学金という名のもとに
学生や家族の弱みに付け込むことがあってはならないと考えたからです。
新聞奨学金制度をはじめ、学資に悩む学生を前借金で囲い込むことには反対です。
今回のブラック企業の糞オーナーと幹部社員に言いたい。
お願いだから、日本人だけでなく、外国人留学生までも犠牲にしないで欲しい。
糞オーナーさんへ
あなたが今居るのは、命を懸けてお母さんがあなたを産んでくれたからです。
これは、あなたの視野に入る全ての人も同じです。
この本質が理解できれば、あなたのブラック企業で働く、社員さんやアルバイトの人たちが決してコストではなく、幸せを求めるひとりの人間であることに気付くはずです。
「恥を知る・・・」
この言葉を、僕は肝に銘じて生きていきたいと思いますし、年齢としては大先輩である糞オーナーさん、あなたには是非知って欲しい言葉です。
久米忠史プロフィール
1968年生まれ 東京都在住
奨学金アドバイザーとして2005年から沖縄県の高校で始めた奨学金講演会が「分かりやすい」と評判を呼び、 全国で開催される進学相談会や高校・大学等での講演が年間150回を超える。
公式サイト「奨学金なるほど!相談所」
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