2013年04月24日
文部科学省が高校生向けの給付型奨学金の創設に向けて動いていることは、これまで何度かメディアでも報じられていましたが、ついに大学生向けの給付型奨学金にも英断を下したようです。
2013年4月23日 毎日新聞 記事より
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「給付型奨学金:大学生も 返済義務なし、対象拡大−−文科省」
文部科学省が導入を検討している返済義務のない高校生向けの「給付型奨学金」について、大学生も対象に含める方針であることが22日、分かった。下村博文(はくぶん)文科相が同日、就職活動に関する意見交換のため同省を訪れた大学関係者に明らかにした。当初は無利子の貸与型奨学金としてスタートさせ、給付型に移行させる考えだ。早ければ来年度から段階的に導入される見通しで、支給額や選考方法など制度の詳細を検討している。
文科省は、教育再生のためには低所得世帯の生徒・学生が安心して学業に専念できる環境整備が重要と判断。高校生を対象とした給付型奨学金の制度設計に着手していたが、下村文科相が「高校だけでなく大学も含めて制度設計する」と決断した。
財源は、現行の高校授業料無償化のための予算4000億円を削って充当する。現在の無償化の枠組みは一部見直し、所得制限をかける方針。
高校生の場合、所得制限以下であれば現行の授業料の無償化を継続し、低所得者層には奨学金も支給するよう制度設計する。
大学生については卒業後に就職できず、貸与型の奨学金の返済に苦慮するケースが問題化しており、給付型の奨学金を新たに設ける。支給額は月数万円程度となる可能性が高い。
自民党は所得制限を世帯年収700万円以下にした場合、高校無償化の対象世帯が5割になるとの試算を示している。文科省は、制限をかける世帯年収を800万円、900万円などにした場合の対象世帯数や必要予算などを詳細にシミュレーションしている。
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これで、取り敢えずは「世界で唯一公的な給付型奨学金を持たない国」という汚名を返上できますか。
しかし気になるのはその財源と予算規模です。
おそらく現行の第一種奨学金の利用者を中心に給付型への移行が始まると思われますが、残念ながらそれでは問題の根本解決にはならないでしょう。
平成24年度の予算規模では、第一種奨学金が約2800億円/38万人、第二種奨学金が約8500億円/96万人となっています。
今回は4000億円の高校無償化予算を財源に検討するようですが、そのうちの最大2000億円ほどを奨学金の予算に廻せる可能性が出てくるのか。
これまでの新規予算規模からすると、ゼロがひと桁多いので確かに喜ばしいことですが、1人当たりの貸与額が大きい第二種奨学金の利用者も対象とする仕組み作りが必要であると思っています。
久米忠史プロフィール
1968年生まれ 東京都在住
奨学金アドバイザーとして2005年から沖縄県の高校で始めた奨学金講演会が「分かりやすい」と評判を呼び、 全国で開催される進学相談会や高校・大学等での講演が年間150回を超える。
公式サイト「奨学金なるほど!相談所」
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