2012年11月05日
2013年4月開学予定であった3大学に対して、田中文部科学大臣が設置不認可と決定したことが波紋を呼んでいます。
「少子化社会の中で大学の質を守るため」という、田中大臣の発言に一分の理があったとしても、あまりにも今回の行動は唐突で乱暴なものであったと思います。
テレビ、新聞各紙も概ね、田中大臣の判断を批判していますが、今朝のテレビ朝日の情報番組を観ていて少し違和感を持ちました。
「少子化は昔から分かっていることなのに、なぜ、大学が増えたのか」とのあるコメンテーターの質問に対し、出演していた教育ジャーナリストは、大学設置基準の規制緩和や私学補助金云々と制度面について答えています。
以前から思っていることですが、進学問題は、大学や専門学校などの機関側の事情と受験生・保護者の心理的な事情を合わせて考えないと、その本質が見えてきません。
今回の事態に対するメディアの報道を見ると、文科省と大学、つまり、行政と教育機関側の視点だけで論じているように感じます。
それよりも「今や大学を卒業しても安泰ではない」という現実が知られてきているにも関わらず、それでもなぜ進学するのか、という受験生側の深層心理を分析するほうが重要でしょう。
「大学進学率を上げたい高校の意向」「保護者世代の学歴信奉(不安)」「昔の10分の1まで激減した高校生の求人数」etc…。
私は比較的偏差値の高くない高校で講演することが多いのですが、前述のような様々な不安に対する対抗策としての進学が多いように感じています。
確かに大学は多くなり過ぎました。
20年前と比べると大学の設置数は1.5倍の780校となる一方で、当時200万人以上いた18歳人口は半分ほどに減少しています。
これから、本格的な大学淘汰の時代に入るでしょうが、大学の最大財源が受験生や保護者が納める学費であることを忘れてはいけません。
「日本学生支援機構の奨学金が無くなれば、ほとんどの大学があっと言う間に潰れてしまうでしょう」。先日、お会いした某大学職員の方の言葉が忘れられません。
久米忠史プロフィール
1968年生まれ 東京都在住
奨学金アドバイザーとして2005年から沖縄県の高校で始めた奨学金講演会が「分かりやすい」と評判を呼び、 全国で開催される進学相談会や高校・大学等での講演が年間150回を超える。
公式サイト「奨学金なるほど!相談所」
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