2013年05月23日
J-CASTニュース(2013年5月23日)より
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日本学生支援機構が586人の奨学金取り消しを追加
大学生らに奨学金を貸す日本学生支援機構が2012年度に支給している学生を再調査し、「警告」を出していた学生の中から新たに586人の奨学金を取り消した。
支援機構は学生の学業が疎かだったり、留年するなどし、貸し出すことが不適格と判断した学生に対し、警告、停止、廃止の処分を大学側と協議の上で決定している。
警告は、奨学金の交付を継続するが,学業成績が回復しない場合は,次回の適格認定時以後に奨学金の交付を停止するか奨学生の資格を失わせることがある措置。停止は休学したり病気などで大学に通えないものに対し一時的に支給をやめる措置。
12年度は支給している全91万人余りの学生を調査し、1万846人を廃止にした。警告を出された奨学生は1万2329人いたが、支援機構はこのたび初めてこの警告を出した奨学生を再調査し、586人が廃止にあたるとの判断を下した。
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奨学金の返済金滞納問題がテレビや新聞など大手メディアで取り上げられるようになりました。
日本学生支援機構奨学金が金融事業化している問題点を指摘することには賛成です。
しかしながら、その一面だけを切り取って「奨学金」を「問題視」することには疑問を常々感じています。
今回の記事を更に分かりやすく解説すると。
大学や専門学校側が奨学金の受給資格を認めた学生に対して、日本学生支援機構側がNOを突きつけた、ということです。
大学の大衆化、娯楽化と言われて久しい日本ですが、信じられない程、学力の低い学生でも大学に入学出来ているのも現実です。
間違いなく、そのことを薄々人びとは肌感覚で感じています。
そのことが奨学金の滞納問題が大多数の国民を共感を得ることが出来ない、大きなの理由ではないでしょうか。
大学も専門学校も、一番重要な項目が自学の存続であることは当たり前のこと。
そこで働き糧を得ている人は、給料や社会保障を得ることが出来ているのですから。
存続するために最も重要な要素が「収入」です。
多少(かなり?)意識の低い学生であっても、学費を払ってくれるのであれば、在籍して欲しいと思うのは、通常の経済観念で考えると当然の流れです。
例え、それが奨学金という名の学生が背負う借金であるとしても・・・。
しかし、教育は通常の商行為とは異なります。
今回は、そのことに日本学生支援機構が問題提起した、と捉えることが出来るのではないかと思っています。
奨学金問題とは単なる返済問題だけではありません。
「若年層の雇用問題」「低下した学力問題」「大学や専門学校の在り方問題」「高等教育機関の経営問題」「公立高校の統合問題」「公務員教員の保証問題」「入試制度問題」・・・etc。
様々な問題が大きく関係しています。
文部科学省や日本学生支援機構を批判することは簡単でしょうが、それだけで問題の本質が解決出来るとは、どうしても思えません。
「誰のための進学であるのか」
あたり前のことを、そろそろ真剣に考える時期に来ているのではないでしょうか。
久米忠史プロフィール
1968年生まれ 東京都在住
奨学金アドバイザーとして2005年から沖縄県の高校で始めた奨学金講演会が「分かりやすい」と評判を呼び、 全国で開催される進学相談会や高校・大学等での講演が年間150回を超える。
公式サイト「奨学金なるほど!相談所」
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