2012年11月08日
11月5日の教育ニュースサイト「リセマム」の記事より
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「奨学金のニーズが高まる一方、奨学金制度の認知度は低い」
JSコーポレーションは11月5日、本格的な大学受験のシーズンを前に控え、7月に発行した「高校生白書2012年」のデータ分析結果を公表した。
(中略)
文部科学省が発表した日本学生支援機構の奨学金の貸与人員の推移によると、2012年度の奨学金の貸与人員数は、134万人。1998年度には50万人だったのに対し、わずか十数年間で2.6倍以上に増加している。また、その貸与の事業費についても、1998年度の2,655億円に対し、2012年度には、1兆1,263億円と、4.2倍以上に膨れ上がっている。
奨学金のニーズが高まる中、「学費負担軽減制度」の利用者は、51%と半数を超えた。学費負担軽減制度の利用者の87%が「日本学生支援機構の奨学金」を利用していたものの、「学校独自の奨学金制度」を利用していたのは、学費負担軽減制度の利用者のわずか8%だった。「学校独自の奨学金制度」の認知度は低く、「出願校の決定基準」に「奨学金や特待生制度」をあげる人は5%にとどまった。
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日本学生支援機構が日本の奨学金制度の根幹を支えていることは明白ですが、「学校独自の奨学金制度」や「特待生制度」の利用者が想像以上に少ないということを伝える内容です。
この記事を読んだ時は、「そりゃあ、そうだろうな」と思ったのが正直な感想です。
特待生制度とは、特別待遇生制度を簡略化した言葉。
特別待遇するための条件は他者よりも秀でた才能があることが条件となり、その多くは成績(学力)で判断されます。
おそらく全ての私立大学が特待生制度を設けていると思いますが、入試の成績の上位2~3%程度しか対象にならないのではないでしょうか。
また、多くの学校独自の奨学金も、成績を重視する実質、特待生制度に近いのがほとんどでしょう。
したがって、例え、志望校独自の減免制度を事前に知っていたとしても、実際に採用されるのが一部の成績上位者であることを受験生も知っているでしょうから、利用者が少ないのは当然だと思います。
むしろ、都道府県や市区町村などが独自に設ける地方自治体の独自奨学金の方が問題があるのではないでしょうか。
多くの場合、地方自治体の奨学金は積極的に広報されていないように感じています。
市町村の奨学金の審査に関わる人から数年前に直接聞いた話ですが、沖縄県某市の奨学金を申請した学生の多くが、当該市役所に勤める職員や高校教員の子どもであったそうです。
地域住民の税金で作られた奨学金制度を肝心の自治体が住民にキチンと周知できていないだけでも怠慢と批判されても仕方がないと思いますが、その情報を優先的に役所関係者が利用しているとすれば、これは納税者に対する背信行為と言ってもいいでしょう。
多くの家庭で、進学費用が大きな負担となっていることは今や常識なので、奨学金情報がどれだけ大切かものなのかが分かるはず。
自治体には、これまで通りのやり方を反省し、市民目線に立って本気でもっともっと必要情報を発信する努力をして欲しいと思っています。
久米忠史プロフィール
1968年生まれ 東京都在住
奨学金アドバイザーとして2005年から沖縄県の高校で始めた奨学金講演会が「分かりやすい」と評判を呼び、 全国で開催される進学相談会や高校・大学等での講演が年間150回を超える。
公式サイト「奨学金なるほど!相談所」
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