奨学金なるほど!相談所

久米忠史の奨学金ブログ

2012年11月09日

田中大臣ゴタゴタ騒動で識者が気づかない問題の本質

田中文部科学大臣の3大学の認可、不認可騒動が続いています。
テレビ、新聞、ネットで様々な識者がコメントしていますが、みんな問題の上澄みを評論しているだけに感じています。

「大学の質の低下」「規制緩和」「多すぎる大学」等々、ようやく国民全体で考えることが出来るようになったのか、と残念ですが少し嬉しくも思っています。そういう意味では、田中真紀子さんは必要悪?(失礼!)な存在であったかもしれません。

見廻してみるとテレビのコメンテーターという方は、高学校歴の方ばかりのせいか、現在の大学事情の本質に気づいていません。

問題の本質は2つに集約されると思っています。

大学生の半数以上、私立に限ってはもっと多くの人が奨学金という借金を背負って進学しています。
極端な言い方ですが、学生が借金して支払う学費によって、大学は運営できているのです。
日本の大学生の70%が私立大学に通っていることを考えると、日本の高等教育は学生が背負う借金を前提に成り立っていると言っていいでしょう。

現在、大学生の就職難が問題視されています。
その理由として、学生の大企業志向と企業側のミスマッチなど、色々な要因が挙げられていますが、ハッキリしていることは昔よりも若者の雇用環境が不安定化している現実を見逃してはいけません。

特に誰もが大学を目指す理由の背景に、平成元年に103万人あった高校新卒求人数が平成23年には19万5000人と5分の1以下になってしまったことがあるでしょう。
昔のように高卒で真面目に働けば、普通に結婚出来て家も買えるというという社会を再び構築できるならば、借金を背負ってまで質の低い大学に進学する人は少なくなるはずです。

①奨学金という若者の借金によって、日本の大学が成り立っている。
②高卒での就職は昔よりも厳しいという現実。しかし大学生の就職も厳しい。

この2つを理解した上で、これからの日本の社会を論じることが重要です。

本日、お台場の放送局で奨学金問題についてヒアリングされました。
夕方からは、教育業界紙の方から、情報交換ということでお声掛け頂きました。
奨学金という定点から見ても、教育問題、雇用問題など、この国の課題が見えてきます。
奨学金(学生の借金)問題が、メディアに取り上げられることは大賛成ですし、ぜひ、力を借りたいと思っています。


テレビでは見ていましたが、当然ですが目の前で見ると大きな建造物です。
生まれて初めて「台場駅」に降りました(笑)。

カテゴリ:時々日記|日時:2012年11月09日22:56|コメント(0)

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久米忠史プロフィール

1968年生まれ 東京都在住
奨学金アドバイザーとして2005年から沖縄県の高校で始めた奨学金講演会が「分かりやすい」と評判を呼び、 全国で開催される進学相談会や高校・大学等での講演が年間150回を超える。

公式サイト「奨学金なるほど!相談所」

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