2013年10月09日
先月、僕に届いた相談メールの実際の話です。
相談者のお母さんは高校生の娘さんと2人で暮らす母子家庭。
理由あって、数年前から月額15万円の生活保護を受給しながら慎ましく暮らしています。
全く余裕の無い生活環境のなかでも娘さんは勉強を頑張りながら、民間団体の奨学金にチャレンジしました。
その結果、毎月3万円の給付型奨学金を受給できることになりました。
正直で真面目なお母さんは、ケースワーカーに娘さんが奨学金を受給できたことを伝えました。
すると、次の保護費からは3万円が差引かれた金額が振り込まれたそうです。
奨学金は頑張る娘の学びを支援するもの。
それが所得と見做されてしまうならば、福祉制度の存在理由だけでなく、奨学金本来の意義が無くなってしまいます。
驚いたお母さんは役所に理由を訊きに行きました。
しかし、担当の職員は要領を得ないことを繰り返します。
挙句の果てには、「この奨学金の意図が分からないので、詳細がわかる証明書を出してほしい」と言われたとのこと。
「娘を応援してくれる奨学団体には迷惑を掛けたくない」
これはお母さんの正直な気持ちです。
途方に暮れながらも、お母さんは頑張る子どもを守りたい一心で、自分なりに一生懸命調べました。
そんな中、インターネットで「奨学金なるほど!相談所」を知ってメールを送りました。
メールを貰った僕は正直困りました。
恥ずかしながら、生活保護制度の詳細が僕の知識の範疇を超えていたからです。
でも、僕にできることがあれば何とか役に立ちたいと思いました。
なぜなら、文面を通して生活保護から脱出したいと思っているうえ、他人の税金のお世話になっているという意識を強く持っている方だと強く感じたからです。
そこで、友人の女性弁護士にメールで相談したところ、彼女は役所の対応については怒りながらも具体的かつ心のこもったアドバイスをくれました。
余談ですが、教育業界には「教育か(家)」と「教育や(屋)」が存在しているように思います。
これは「政治家」と「政治屋」の違いと同じように、法曹界にも「法律家」と「法律屋」がおり、いずれにしても「〇〇屋さん」は尊敬ではなく、僕は多少馬鹿にしています。生意気ですいません(笑)。
何人か弁護士の知り合いが居ますが、その中に心のある「法律家」が居てくれたことを心から嬉しく思いました。
彼女からのアドバイスをもとに相談者のお母さんにメールをしたところ、お母さんから直ぐに返信メールが届きました。
僕にメールを出した後も、お母さんは自力で色々と調べて役所と掛け合ったそうです。
その結果、担当部署は間違いを認めて保護費の全額が支給されることになった経緯が、僕へのお礼と共に書かれていました。
責務に対する役所の不誠実さには怒りを覚えますが、それ以上に、お母さんが独りで苦しんでいたその時に、直ぐに対応できなかった己の意識と能力の低さを恥ずかしく思いました。
女性の強さ、能力の高さを感じる機会が多く有ります。
決して僕はフェミニズム主義者ではありませんが、あらゆる分野で女性がもっともっと進出した方が活気ある社会になるのではないかと真剣に思っています!!
久米忠史プロフィール
1968年生まれ 東京都在住
奨学金アドバイザーとして2005年から沖縄県の高校で始めた奨学金講演会が「分かりやすい」と評判を呼び、 全国で開催される進学相談会や高校・大学等での講演が年間150回を超える。
公式サイト「奨学金なるほど!相談所」
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