2014年01月26日
児童養護施設を舞台にした「明日、ママがいない」(日本テレビ系)の内容について大きな批判が巻き起こっているようですね。
先日、愛聴している荻上チキさんのラジオ番組でも、児童養護施設関係者を招き、そのことについて議論されていました。
関係者の話の中で印象に残ったのが、卒園者の大学進学に関する内容でした。
児童養護施設を卒園した若者の大学や専門学校への進学率が2割程度とのこと。
現在、高校卒業者の8割近くが大学や専門学校に進学している現実を考えると、児童養護施設出身者がかなり厳しい環境に置かれていることは想像に難くありません。
おそらく彼ら進学者のほぼ全員が日本学生支援機構の奨学金を利用していると思われますが、問題はその中退率です。
苦労して進学したにも関わらず、進学者の3割が途中で学校を辞めてしまっているそうです。
何度も言っていますが、日本学生支援機構の奨学金は実質学生が背負う借金です。
例え中退しても、奨学金の返済義務は残ります。
ただでさえ頼る人の少ない彼らが、さらに経済的なハンディまで背負わされてしまうことになる。
これはホントに心の痛い話です。
そういう意味でも、先日このブログでも書いた横浜市の新奨学金制度の創設には心底エールを送りたいですし、ふるさと納税などで僅かでも自分なりに協力したいと思っています。
話は変わりますが、今朝のNHKのニュース番組で障害者ホームの設立について特集されていました。
障害者ホームを作ろうとすると地域住民の間で反対運動が起こり、ホーム設立を断念せざるを得ないケースが多い、との内容です。
反対理由の多くが障害者に対する偏見や誤解に基づいたものであって、開設者側が何度も地域住民と話し合うことでホームの開設を実現した具体例が紹介されていましたが、インタビューに答えていた施設代表者の言葉が心に沁みました。
「反対する人の数は実はそれほど多くはなく、彼らの声が大きいだけ・・・・」
「反対する人と戦うのではなく、賛成する人を増やすことが大切・・・・」
この言葉を聴いた時、正直ドキッとしました。
奨学金にも同じことが言えるのではないか・・・。
障害者施設は、利用者本人と家族、従業員や地域社会にとってもプラス面しかないので、奨学金制度と単純に同一視はできませんが、奨学金を批判する人たちと対立するのではなく、奨学金のメリットとデメリットを正しく伝え、奨学金の理解者を増やしていくことこそ、本当に必要なことではないか。
多くの家庭で奨学金を必要としていることは事実です。
残念ながら、現行の奨学金予約制度は、高校の先生方による情報格差や管理職の知識不足など多くの問題点が露呈し、受験生や保護者の潜在・顕在ニーズに応えているとは言い難いのが現状です。
「賛成者、理解者を増やしていく・・・」 そう考えると、自分の心が穏やかになりました。
この言葉を大切に、これからも保護者に向き合っていきたいと思います。
久米忠史プロフィール
1968年生まれ 東京都在住
奨学金アドバイザーとして2005年から沖縄県の高校で始めた奨学金講演会が「分かりやすい」と評判を呼び、 全国で開催される進学相談会や高校・大学等での講演が年間150回を超える。
公式サイト「奨学金なるほど!相談所」
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