2014年04月13日
このところ、偽装、捏造が話題になっていますが、昨年は、食品表示偽装が世間を騒がせました。
1000円程度のバナメイエビを3000円もする芝エビとして偽装したことが大きく取り上げられ、全国の高級ホテルに波及したことを覚えておられる方は多いのではないでしょうか。
一連の食品偽装の発端となり、マスコミの矢面に立たされた阪急阪神ホテルズは、内部告発ではなく、社内調査をもとにした自らの記者発表にも関わらず大きな批判に晒されました。
確かに、謝罪会見での社長の発言が、利用者よりも株主や親会社を意識したものであったことは問題だと思いますが、それ以上に、したり顔で仰ぎたてるメディアやコメンテーターに個人的には辟易しました。
少し古い話ですが、北海道のミートホープ社の社長や鳥インフルエンザの対応を責められ創業者夫婦が自殺にまで追い込まれた浅田農産のことを忘れることはできません。今となってはマスコミの過剰報道による犠牲者と言ってもいいかもしれませんね。
そうは言っても、民間企業は世間からの信用を失っては生きていけません。
会社トップの姿勢(というか、マスコミを前にした時の対応)が世間に晒されることで、倒産や廃業の憂き目にあう。厳しいことですが、民間企業にとっては逃れることができない現実といっていいでしょう。
しかし、こと教育産業は少し違うようです。
2014年4月1日 YOMIURI ONLINEより
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中国人留学生が一時400人、今は数人の大学
青森大(青森市)は31日、一時400人近かった中国人などの留学生が、2013~14年度は2~3人程度まで激減したことを明らかにした。
同大では11年に偽装留学や留学生向けの奨学金不正受給などの問題が相次いで発覚、激減は中国で積極的に行っていた留学生の募集活動から撤退したことが要因という。
同大は中国の日本語学校と提携し、多くの留学生を受け入れていた。ピーク時の09年度には大学と大学院で計391人の留学生が在籍していたが、11年までに通学実態がなく偽装留学生と判断した学生計152人を除籍した。大学が留学生向け奨学金1700万円超を不正受給していたことも判明し、11年末には当時の学園理事長らを処分した。
同大によると、問題発覚後、中国の日本語学校を通じた受け入れをやめたため、留学生が大幅に減り、13年度は2人、14年度も3人にとどまる見通しという。
31日に記者会見した崎谷康文学長は「青森を拠点に学び、青森で働く人材を育てる原点を自覚した大学を作っていきたい。地域とのつながりを一層大切にしたい」と述べ、留学生よりも地元学生を重視した大学運営を進める考えを示した。
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当然のことですが、青森大学は、文科省から奨学金の不正受給分の全額の返還を求められました。この記事中にある偽装留学生とは不法就労を目的とした人でしょう。ちなみに、この留学生向けの奨学金は返済不要のもの、つまり我々国民の税金から支払われたものです。
この青森大学の学長のコメントは、どこか他人事のようで、違和感を持ってしまうのは僕だけでしょうか。
誤解しないで頂きたいのが、青森大学だけを批判したいのではありません。
少子化社会に進んでいるにも関わらず、大学や専門学校は増え続けました。
その結果、中国や韓国、最近ではベトナムなどからの留学生の募集に力を入れる大学や専門学校が少なからず存在しています。
以前、不祥事が続く某大学グループを取り上げた週刊誌の記事によれば、新入生の99%が中国人留学生だったそうです。
その記事を読んだとき、果たして1%の日本人学生にとって満足いく教育環境となっているのだろうか、と心配になったことを覚えています。
別に不法就労目的の偽装留学生の肩を持つ気はありませんが、大学や専門学校と日本語学校との行き過ぎた関係、そこに介在する教育事業者こそが、問題を生み出している要因だと思います。
教育事業者からは批判を受けるかもしれませんが、日本人学生が集まらないからといってアジアからの留学生募集に力を入れ過ぎると、結果的には最も大切な教育環境すらも損なってしまう危険性をはらんでいることは、先の青森大学の例を見ても明らかでしょう。
理想論、綺麗ごとと言ってしまえばそれまでですが、大学や専門学校は常に社会に正対した外側目線を忘れてはいけないと思います。
収益ばかりを優先するなど、内側にしか目が向かなくなった学校には、思い切って舞台から退場していただく、といった厳しい指導も文科省には求められているのではないでしょうか。
久米忠史プロフィール
1968年生まれ 東京都在住
奨学金アドバイザーとして2005年から沖縄県の高校で始めた奨学金講演会が「分かりやすい」と評判を呼び、 全国で開催される進学相談会や高校・大学等での講演が年間150回を超える。
公式サイト「奨学金なるほど!相談所」
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