2015年05月09日
日本の奨学金のの悪者、嫌われ者といえば、日本学生支援機構となりつつあります。
ハッキリと明言しますが、奨学金の現行制度にいくつか課題点があることは事実ですが、日本学生支援機構の奨学金が決して他国に比べて劣っているとは思いません。
例えば、有利子奨学金の利率ですが、アメリカの学資ローンの利率は6%以上、しかも通常のローンと同じく借りた翌日から利息が発生します。それに対して、日本の有利子奨学金の実際の利率は0.1%~0.5%程度であるうえ、在学期間中に利息は発生しません。
メディアでは、利息云々と大きく騒ぎますが、実はホントゼロに近い利息なのです。延滞金は別として、利息の負担が苦しくて返済に苦しむ元奨学生はほとんどいないと言っていいでしょう。
むしろ、本当の問題点は、大学や専門学校側にあると確信しています。
いま、40%近くの大学生は奨学金を借りており、その70%が日本学生支援機構の第二種奨学金を利用しています。
多くの大学生が奨学金を利用しているなか、大学と名乗っていながら、とても高等教育機関とは言えない大学の実例を説明したいと思います。
薬剤師の国家試験合格率は、全国平均63.1%です。(厚労省 第100回薬剤師国家試験 大学別合格者数)
薬学部は修業年限が6年間となっているうえ、初年度の平均納付金が210万円以上と高額であり、学費だけで1000万円以上必要となる家計の負担が大きい大変な進路です。
厚労省が公表しているデータのワースト5大学です。
<薬剤師試験合格率 ワースト順位>
1.第一薬科大学 23.4%
2.帝京平成大学 33.0%
3.日本薬科大学 37.8%
4.奥羽大学 38.5%
5.北陸大学 39.3%
ちなみに、国立大学の薬剤師国家試験合格率の平均は75%です。国公立に比べて私立が低いのは誰もが想像できますが、本音を言えば、大学本来の役割を果たしているとは言えない、これらの大学からは設置認可をはく奪すべきだと思います。
ハッキリと言います。こんな大学に勤める教職員は学生募集をする前に自分たちの生き様を見つめ直して欲しいと思います。おそらく経営陣は学校屋さんとして理事などに名前を連ねているでしょうが、こいつ等は金しか持たないつまらない連中です。
自分の子どもも是非入学させたい、そんな大学こそが社会から必要とされる大学です。
次回は、奨学金を悪用しよう考えるブラック企業について自分が体験した本音の話を書きたいと思います。
久米忠史プロフィール
1968年生まれ 東京都在住
奨学金アドバイザーとして2005年から沖縄県の高校で始めた奨学金講演会が「分かりやすい」と評判を呼び、 全国で開催される進学相談会や高校・大学等での講演が年間150回を超える。
公式サイト「奨学金なるほど!相談所」
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コメント/トラックバック (2件)
先日は久米島高校での講演会ありがとうございました。高校三年生の娘が薬学部進学を希望しています。このような講演会を聞くたびに感じることは日本では、小学生のころからもっとお金に関する勉強・教育を授業の中で取り入れるべきではないかと思っています。保護者の立場として、“お金”に対する勉強不足を痛感しました。子供達が将来、経済的に自立し、お金の管理が出来るようになる為にも、何らかの方法で共に学んでみたいと考えています。ありがとうございました。
投稿日時: 2016.05.30@15:04 投稿者: 儀間 剛
儀間さん
先日はご参加頂き有難うございました。
仰られる通り、初等・中等教育段階でのお金の教育が必要な時代になっていると思います。
日本ではお金の話は「下品やカッコ悪い」ものとして忌避されてきた風潮がありますが、生活していくうえでの根幹であり、生きる力をつけるうえで必要不可欠な知識だと実感しています。
投稿日時: 2016.07.11@11:38 投稿者: kume
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