2017年04月03日
メディアの報道などでご存知の方もいると思いますが、今年度から日本でも給付型奨学金がスタートすることになりました。
給付型奨学金は次年度となる平成30年度から本格開始となりますが、今年度は先行実施されます。
【平成29年度・先行実施】
対象進路/大学・短大・専門学校・高専4年次
給付月額/国公立(3万円)、私立(4万円)
家計基準/住民税非課税世帯
【平成30年度・本格実施】
対象進路/大学・短大・専門学校・高専4年次
給付月額/国公立自宅生(2万円)、国公立自宅外生(3万円)
私立自宅生(3万円)、私立自宅外生(4万円)
家計基準/住民税非課税世帯
「住民税非課税世帯」となっている点をみると福祉的な側面の強い制度といえます。また、採用枠数が各高校1名以上とかなり狭き門であるので、ほとんどの学生は従来通りの貸与型に頼らざるを得ないでしょう。
色々な意見があると思いますが、給付型奨学金の創設に政府が踏み込んだことを大いに評価すべきですし、奨学金制度の転換期に入ったことは明らかだと思います。
今回、給付型奨学金の創設と共に、第一種奨学金の基準についても制度変更が行われました。個人的にはこちらにこそ問題点があると思っています。
【第一種奨学金(無利子)の変更点】
①申請基準を満たす学生を全員採用する
これまで第一種奨学金は成績と収入基準を満たしていても全員が採用される訳ではない選抜型でしたが、今後は基準を満たしていれば全員を採用する方針となりました。
②住民税非課税世帯は成績基準を撤廃
第一種奨学金は高校の成績3.5以上などと成績基準が設けられていますが、「住民税非課税世帯」の学生に対しては、成績基準が撤廃されることになりました。
危惧しているのは②「住民税非課税世帯の成績基準撤廃」です。
このことによって、第一種と第二種の併用を利用し、奨学金を借り過ぎてしまう学生が増える可能性があります。
成績基準が変更されても、卒業後の返済責任は変わりません。
ブラックリスト登録をはじめ、滞納時のリスクもこれまで同様です。
誤解を恐れずに言うと、第一種の成績基準により、意欲のある学生とそうでない学生の選別に繋がった点があると思います。
言い換えれば、意欲の低い学生の借り過ぎを抑制する効果があったと思います。
この制度変更は、教育よりも経営を優先する“学校屋さん”にとっての追い風になりかねません。
悲しいことですが、そのような不良大学、不良専門学校が存在していることは現実です。
ただでさえ多忙さに悲鳴をあげている高校の先生方には申し訳ないですが、低学力層に対する進路指導は、今まで以上に慎重さが求められると思います。
久米忠史プロフィール
1968年生まれ 東京都在住
奨学金アドバイザーとして2005年から沖縄県の高校で始めた奨学金講演会が「分かりやすい」と評判を呼び、 全国で開催される進学相談会や高校・大学等での講演が年間150回を超える。
公式サイト「奨学金なるほど!相談所」
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奨学金をもらうことで不幸になる若者が増えないように導いてあげてください。
投稿日時: 2018.03.21@09:39 投稿者: 匿名
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