奨学金なるほど!相談所

久米忠史の奨学金ブログ

2019年01月03日

教員の過剰労働につながる奨学金業務

奨学金業務に振り回される高校教員

ここ数年、日本学生支援機構の奨学金制度が毎年変更されています。

従来のものに加えて、新制度を継ぎ足し、継ぎ足しで導入したため、奨学金制度そのものが以前と比較してかなり複雑な仕組みとなっています。

その影響を受けるのが、奨学金利用者となる学生とその家族であることは間違いありませんが、最大の被害者と言えるのが高校教員であることがほとんど知られていません。

昨年の10月、日本学生支援機構の予約採用の担当教員は混乱を極めました。
その最大の原因は、昨年から導入されたマイナンバーのトラブル対応です。

一昨年までは、家庭の収入を証明するために役所が発行する所得証明書が必須でしたが、昨年からはマイナンバーが活用されることになりました。

マイナンバーに関する書類の提出は、高校教員はタッチせずに、申込者本人が日本学生支援機構との直接やり取りとなっています。

そういう意味では、教員の負担軽減につながるのでは、と考える向きも当初はありました。
しかしながら蓋を開けてみると、負担軽減どころか負担激増の最大要因となってしまいました。

書類不備の対応を求められる高校現場

第1回目の予約採用の決定通知(10月下旬)が高校に届くと、マイナンバー書類に不備があった学生には「マイナンバー関連欄」に「不備中」と記載された一覧を担当教員が受け取ります。

機構からは、不備を解消するために生徒指導を求められたのですが、担当教員が困ったのは、何の書類が不備なのか肝心な点は教えられないという機構側の対応です。

マイナンバーが守秘義務の高い情報であることは理解できますが、不備原因を教えて貰えなければ、指導といっても不完全なものとなってしまいます。

高校現場への今回の要請は、奨学金業務の責任転嫁と指摘されても仕方のない事態でした。

しかも、学校担当者専用の問い合わせ電話番号と日本学生支援機構の業務を請け負った“りらいあコミュニケーションズ㈱”の相談窓口の電話は、一日中繋がらない状況が続いたようです。

問い合わせ電話番号に関して更に言うと、奨学金を申請した受験生と保護者の向けのナビダイヤルも同様に不通状態が続き、保護者からのクレームが担当教員に跳ね返ってくる始末です。

ある担当教員は、「オーバーな話ではなく、1日100回以上架電した」とのこと。

また、別の教員によると、書類不備と指摘された生徒が何もしていないにも関わらず、いつの間にか“不備解消”となっていたそうです。

不透明で中途半端な日本学生支援機構の仕切り方は高校教員を疲弊させています。

日本学生支援機構には、高校現場の声を大切にしてほしい

今回の混乱は、問い合わせ窓口の人員・回線不足、見込みの甘さに尽きるので、日本学生支援機構の責任は重いと思います。

民間企業で同じことが起これば、当該企業の責任が厳しく追及される事態でしょう。

総じて高校教員は真面目で、決められたことは期日までにやり遂げなければと考える責任感の強い人たちです。わずかな休憩時間は保護者からの電話対応に追われ、昼食さえも摂れないことが珍しくありません。

日本学生支援機構の奨学金申請業務は、教員への過剰な負担によって支えられているというのが実態です。

そもそも、奨学金の手続き業務は高校教員の本来の仕事ではありません。

日常の授業や学校行事を行いながら、奨学金手続きを担うことがどれだけ大きな負担となっているのか。日本学生支援機構には、現場の教員の声を聴き取る聴診器をもってほしいと願います。

カテゴリ:未分類|日時:2019年01月03日08:26|コメント(4)

コメント/トラックバック (4件)

奨学金業務を担当しているものです。
今回の変更は本当に最悪のものでした。
保護者への対応も大変ですが、他の職員の理解・協力を得ることもできず、
担当者一人がサンドバック状態です。
担当者を増やしてほしいと主任に訴えても
「奨学金業務は本来高校の仕事ではない。大学がやること」
「3年の担任は忙しい」「人が減らされていない」の三点張り。
奨学金業務は本来高校の業務ではない。
確かにそうなのですが現状、やらざるを得ない。
機構へ改善要求をしつつ少しでもいいので業務を分散してほしいです。
問い合わせ先へ電話がつながらないだけでなく、FAXもなかなかつながらず
5~6回目でやっと送信できたという日もありました。
(送信できたのは19時ごろ)
そして回答Faxが届いたのは1週間以上経過してから。
提出〆切(必着)の前日でした。
地方は提出に日数がかかるので、保護者と相談した上で
回答がない状態でとりあえず提出せざるを得ませんでした。
また、不備がないのに審査が終わっておらず10月下旬に通知されなかった
生徒が申請者の5%ぐらいいました。
マイナンバーを使った市区町村と機構とのデータのやりとりが
うまくいかなかったために結局所得証明書を追加提出を求められた
としか思えないケースもありました。
保護者から「〆切を守って提出しているのになぜ審査されないのか。
うちは年末調整とかちゃんとしているのに、なぜ所得が確認できなかった
なんて連絡がくるんですか」と電話で訴えらえ、非常に困りました。
(お怒りはごもっともと。私も同意見です)
昨年までは所得証明書を発行して終わりだったのに、
突然マイナンバーでデータやり取りと言われた市区町村の担当者も
大変だったのではないでしょうか。

投稿日時: 2019.01.13@11:06   投稿者: 匿名希望

高校の教職員は、日本学生支援機構に「無給の下働き」をさせられているのが実情です。
それにもかかわらず、生徒の進路に影響を及ぼすため、責任は大きいです。
高校の教職員は、日本学生支援機構に対して、もっと声をあげても良いと思います。

投稿日時: 2019.01.15@11:53   投稿者: 近畿FP事務所 長尾公二

奨学金業務は本当に負担が多く、大変な仕事です。現在、学生支援機構だけでも校内で100名以上の書類を預かります。入力作業はミスがあってはいけないので、途中、邪魔が入らないように、土曜日をまるまる1日つぶして、黙々とひとりでやるしか有りませんでした。もちろん残業代などでません。このほか、県の奨学金(在学と大学予約)、市の奨学金、一般財団からの奨学金(年間でざっと20件くらいは来ます)、これらの案内、書類のチェック、起案、送付・・・これはもう、教員の仕事ではありません。中には、必ず1人は推薦して欲しいと催促の電話がかかってくるものもあります。学校から推薦となると、書類を準備し、成績や出欠の確認、所得を証明する物を並べて、管理職を含めた推薦会議を持たなければなりません。jassoの給付型が出来たときには、基準も選抜も学校丸投げ、それでいて期日は迫っていて、本当に大変でした。政府の指針によって制度が急に変わり、担当者の負担は計り知れません。奨学金の案内はします。しかし、案内チラシを全校生分、送ってきてください。(校内で印刷するのも時間と紙代がかかります。)教員はそれを配り、成績証明や在学証明を発行するまでで、あとは直接書類のやりとりをして頂きたい。たしかに、大学予約の奨学金があるから進学を決めるという生徒もいますが、そもそも多額の借金をしないと大学に行けない日本の仕組みがおかしいのですが。

投稿日時: 2019.04.14@01:15   投稿者: 匿名希望

奨学金担当でした。まさに、コロナ禍の中、説明会もなく、動画での説明をするという通知も、校内で説明動画を案内に則って作成したのちに来た始末。最悪の団体だと思います。希望者も増え、5月1日から追加書類を注文していたのに、7日以降の申込みについては書類がもうありませんというずさんさ。最悪の団体なので、金輪際この団体の下働きはまっぴらです。教員は生徒の借金の片棒を担がされている状態と変わりません。生徒が直接電話をし、機構さんのほうからこちらに来ていただいて説明会をしていただけるよう、幾度となく電話でもお伝えしています。奨学金が必要な生徒は、大学や進路先の奨学金を借りるようにしてもらいたい。

投稿日時: 2020.05.21@15:45   投稿者: 匿名

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久米忠史プロフィール

1968年生まれ 東京都在住
奨学金アドバイザーとして2005年から沖縄県の高校で始めた奨学金講演会が「分かりやすい」と評判を呼び、 全国で開催される進学相談会や高校・大学等での講演が年間150回を超える。

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