2021年03月08日
沖縄県の某公立高校でPTA会長を務める知人から教えてもらった地元紙・沖縄タイムスの記事です。
沖縄の高校生、専門学校への進学希望者が増加 進学率は65.1%に
当該記事をざっくりとまとめると、専門学校への進学率が前年よりも上回った。沖縄県教育長によると、「高等教育の修学支援新制度」と「コロナ禍」が影響しているのであろうとのこと。
同じ現象は、実は2008年のリーマンショック時にも起こりました。高校生の就職が厳しくなり、その結果、専門学校への進学率が上昇したのです。
おそらく専門学校の進学率が上昇したのは、沖縄だけでなく全国的な傾向ではないかと思います。
リーマンショック時の経験ですが、就職から専門学校進学に切り替えたが、お金を準備していないという保護者から何件も相談を受けたことを覚えています。
誤解を恐れずにいうと、入学時点から就職を見据えて真面目に取り組んできた高校生の就職はそれほど心配はありません。
また、「あの子の保護者は就職希望だけど、優秀だから何とか大学進学に目を向けさせたい」という教員の声もよく聞きます。そのような生徒は特待生という選択肢もあるでしょうし、奨学金を借りて進学すると真面目に学業に取り組むでしょう。
進学を想定していなかった家庭が困るのは、やはり「お金」の問題です。特に合格発表後の納付金が目の前の課題になります。
奨学金の支給が始まるのは進学後なので、それ以前に必要な費用対策として教育ローンが重要になります。
奨学金と同じく教育ローンでも「民間のもの」と「公的なもの」があり、公的な教育ローンは政府系金融機関である日本政策金融公庫が「国の教育ローン」として取り扱っています。
民間の教育ローンに比べて、国の教育ローンは低利(2021年3月8日現在・1.68%)であるうえ、ひとり親、低所得、多子世帯などには0.4%の利息優遇措置が取られます。
ただ、民間金融機関と異なり、国の教育ローンはテレビCMなど積極的なPR活動ができないため、その存在を知らない保護者が多いというのが少し残念な点です。
リーマンショック後、高校生の就職事情の悪化が感じられた2012年頃まで、高校で行われる保護者対象の奨学金講演会では、就職希望の家庭でも万が一のために日本学生支援機構奨学金を予約採用で申し込んでおこう、と話していました。
そのことで、保護者にお金の用意に対する意識づけと危機感を持ってもらいたいという意図でした。
そして、無事就職が決まれば、奨学金をキャンセルすればいいと。キャンセルも特別な手続きは必要なく、放って置けば何らペナルティーなく自動的にキャンセルされるということを。強調して伝えていました。
コロナ禍が家計に与える影響、地方の中小企業の業績に与える今後の影響が心配されます。
少なくとも、21年度の予約採用では、就職希望者も含めた奨学金指導を行ったほうがいいでしょう。保護者に対しては、奨学金だけでなく国の教育ローンの情報提供も必要かと思います。
奨学金アドバイザー 久米忠史
【公式サイト】奨学金なるほど!相談所 http://www.shogakukin.jp
【YouTubeチャンネル】https://www.youtube.com/c/shogakukin
久米忠史プロフィール
1968年生まれ 東京都在住
奨学金アドバイザーとして2005年から沖縄県の高校で始めた奨学金講演会が「分かりやすい」と評判を呼び、 全国で開催される進学相談会や高校・大学等での講演が年間150回を超える。
公式サイト「奨学金なるほど!相談所」
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