奨学金なるほど!相談所

久米忠史の奨学金ブログ

2013年06月23日

ネット社会の怖さ~間違った情報が独り歩きする危険性~

「奨学金」をキーワードにグーグルアラートに登録しているので、奨学金や学費に関する記事情報が毎日届く。

先日届いた記事のタイトルに「奨学金利用者の28.8%は延滞・・・」とあったので、驚いて直ぐにそのページを開きました。

Business Media 誠というサイトのコラム記事です。

筆者は、保護者に対して「早めに進学費用を準備することが大切ですよ」と、真っ当なことをアドバイスされています。
そして、そのことを強調するために、奨学金の滞納者に関する情報を引き合いに出されたのでしょう。
このような手法は、僕も含めて情報を伝える側の人間は誰もが用いることなので、何ら意見はありません。

ただ、間違った情報がネット上で広がっていくことに危険を感じています。
特に奨学金の滞納問題がメディアで注目されている今だからなおさら心配です。

筆者が、滞納率28.8%と書いた根拠は、日本学生支援機構のアンケート調査結果を基にしていますが、キチンと読めば「28.8%」とは、無延滞者のアンケートへの回答率であるということが分かります。

間違いや失敗は誰もが犯すことなので、筆者を責めるつもりは全くありませんが、自分への戒めとネット社会の怖さを実感するきっかけになりました。

滞納者に関する平成23年度末のデータを正確に読むと。
以下のようになります。

□奨学金の返済が始まっている人:301万4千人
□キチンと返済している人:268万3千人
■1日以上延滞している人:33万1千人
■3ヶ月以上延滞している人:19万7千人

上記のデータから計算すると、正しくは以下の数字となります。

■1日以上延滞している人 → 約11%
■3ヶ月以上延滞している人 → 約6.5%

11%や6.5%だから問題が無いとは全く考えていません。
いつも発言しているように、返済方法を柔軟化することが直近の最重要課題です。

滞納問題の根幹は、日本育英会時代の負の遺産と金融事業への転換、そして何といっても雇用問題にあると思っています。

不安を煽るだけではなく、個人個人が正しい知識をもって、その対策に臨むことが求められているのではないでしょうか。

カテゴリ:時々日記|日時:2013年06月23日19:49|コメント(0)

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久米忠史プロフィール

1968年生まれ 東京都在住
奨学金アドバイザーとして2005年から沖縄県の高校で始めた奨学金講演会が「分かりやすい」と評判を呼び、 全国で開催される進学相談会や高校・大学等での講演が年間150回を超える。

公式サイト「奨学金なるほど!相談所」

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