2013年08月29日
現在、各省庁では26年度の概算要求の取りまとめの真っ只中にあるようですが、文部科学省が奨学金制度の改善に向けて一歩踏み出そうとしています。
毎日新聞 2013年8月28日の記事より
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奨学金:無利子枠の拡大検討 文科省が5万6000人分
文部科学省は27日、日本学生支援機構が大学生らに貸与している奨学金の無利子枠を5万6000人分増やし、卒業後に返済に苦しんでいる人の返済猶予期間を延長するなど救済策も拡大する方針を固めた。学ぶ意欲があっても経済的理由で進学を断念することがないよう環境を整備するのが目的。文科省は2014年度予算の概算要求に関連費用を盛り込む。
本年度は約14万人分を確保していた新入生向けの無利子枠を4万人分増やし、これとは別に東日本大震災で被災した世帯の学生向けを4000人分拡大。また海外留学する学生のために新たな無利子奨学金制度を創設し、1万2000人分の確保を目指す。(共同)
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この記事の主眼は、無利子枠の拡大に当てられていますが、僕が注目したのは「返済猶予期間の延長」です。
国の借金が1千兆円を超えている現在では、給付制奨学金を始めとする新たな財源が必要となるものには、財務省の「無い袖は振れない」論理の前になかなか進展しません。
ただ、奨学金の返済猶予期間の延長については、特に大きな予算を必要としないので直ぐに取り掛かれるテーマです。いわゆる消費者保護の観点ですね。
現状では猶予は最長5年間となっています。これは言い換えれば、5年以内に生活を立て直さなければならない、ということを意味します。
昨今の若者の不安定な雇用状況と照らし合わせると、少し厳し過ぎると感じる人も多いのではないでしょうか。
おそらく猶予期間は、7年とか10年程度になるのではないかと思いますが、返済に苦しむ人をにとっては朗報ですし、一歩前進であることは間違いありません。
日本の奨学金制度が「貸与型」であることを柱とするならば、現在の中途半端な所得連動奨学金ではなく、所得に合わせて返済額が決まる本当の意味での「所得連動返還」が理想的な形でしょう。
今回報道された猶予期間の延長の先に、所得連動返還制度創設に向けた本格的な議論の始まりを期待しています。
久米忠史プロフィール
1968年生まれ 東京都在住
奨学金アドバイザーとして2005年から沖縄県の高校で始めた奨学金講演会が「分かりやすい」と評判を呼び、 全国で開催される進学相談会や高校・大学等での講演が年間150回を超える。
公式サイト「奨学金なるほど!相談所」
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