奨学金なるほど!相談所

久米忠史の奨学金ブログ

2021年01月11日

奨学金の利息「固定と見直し」どちらを選ぶべきか?

日本学生支援機構の貸与型奨学金には「無利子」と「有利子」のものがあります。

以前は選抜型であった無利子奨学金は、「有利子から無利子へ」と国の方針が打ち出されたことで、現在では成績と収入基準を満たす全員が採用されるようになっています。しかしながら、貸与人数・貸与額ともに有利子奨学金のほうが多いのが実情です。

有利子奨学金では、利息の算定方式を奨学金申請時に選択しなければなりません。ここでは、「利率固定方式」「利率見直し方式」のどちらを選択したほうがいいのか、についてわかりやすく解説をします。

①奨学金の利息の仕組み

奨学金の利息の上限は3%と制限がかけられています。つまり、世の中の金利がどれだけ上昇しようとも3%を超えることはありません。

さらに、在学期間中には利息が発生しません。「利息に上限がかけられている」「利息が生じるのは卒業後」というこの2点が奨学金の利息の大きな特徴です。

②返済利率の算定方式

利息の算定方式には「利率固定方式」「利率見直し方式」の2つの方式があり、奨学金申請時点でいずれかの方式を選択します。

【利率固定方式】全ての返済を終えるまで同じ利率が適用される
【利率見直し方式】おおむね5年ごとに利率が見直される


ちなみに2020年3月貸与終了者の適用利率は、「固定0.070%」「見直し0.002%」と上限利率の3%よりもはるかに低く推移しているのが実情です。

③返済利率はいつ決まる?

ここからが本題です。奨学金申請時に「利率固定方式」「利率見直し方式」のどちらを選べばいいのか?

残念ながら、どちらを選べがいいのか答えられません。その理由は、奨学金の返済利率の確定時期にあるからです。

自動車ローンでもなんでもそうですが、通常のローンでは借りる時点で支払利息が決まっています。

それに対して、奨学金の利息が確定するタイミングは貸与終了時点となっています。つまり、卒業まで借りるならば卒業年月の利率が適用されるのです。

数年先の景気状況を自信を持って予測できる人は誰ひとりいません。いるとすれば占い師か霊能者ぐらいでしょうか(笑)

④貸与終了年度に変更可能

でもご安心ください。
奨学金申請時に選択した利率の算定方式は貸与終了年度内に変更することができるのです。

つまり、大学卒業まで借りるのであれば、4年生の年に変更できます。

日本学生支援機構のHPでは「貸与利率」として、適用返済利率を毎月公表しています。

昨年度(2019年4月~2020年3月)のものと今年度(2020年4月~)の適用利率表を見てみましょう。※2021年1月11日時点

マイナス金利政策が取られている日本では超低金利時代が続いています。

市場金利は有利子奨学金の利率にも影響するので、かなり低利で推移していることがわかると思います。

しかし気になるのが、2020年4月以降の固定方式の利率が前年度に比べて上振れしている点です。

⑤貸与終了年に最終検討!

日本学生支援機構のHPでは、利率の算定方式を変更する期限について以下のように説明しています。

「選択した「利率の算定方法」は、貸与期間が終了する年度の一定時期まで変更することができます。」

一定時期というのが、いつなのかが気になりますね。

複数の大学関係者に聞いた限りでは、事務手続きの都合上、年が明けてしまうと変更できない、ということがあるようです。

したがって、借り終わる年度の新学期早々に、在籍する大学や専門学校の奨学金担当部署に変更可能な期限を確認するようにしてください。

奨学金の返済は最長20年と長く続きます。低利といえどできるだけ支払額を節約したいというのは当然の考えです。

利率の算定方式の選択のポイントについて解説いたしました。

奨学金アドバイザー 久米忠史
YouTubeチャンネル 奨学金なるほど!相談所

カテゴリ:奨学金ニュース|タグ:,,,|日時:2021年01月11日18:51|コメント(0)

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久米忠史プロフィール

1968年生まれ 東京都在住
奨学金アドバイザーとして2005年から沖縄県の高校で始めた奨学金講演会が「分かりやすい」と評判を呼び、 全国で開催される進学相談会や高校・大学等での講演が年間150回を超える。

公式サイト「奨学金なるほど!相談所」

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