奨学金なるほど相談所

講演・取材のご依頼

進学費用メール相談

  • HOME
  • 奨学金についてきちんと知る

  • 動画で解説!奨学金
  • すっきり解決Q&A
  • 奨学金講演日程と実績
  • 久米忠史執筆・著作
  • 奨学金なるほど相談所運営法人概要
    • 奨学金講演について

高等教育の修学支援新制度「給付型奨学金」と「学費の減免」

高等教育の修学支援新制度
「給付型奨学金」と「学費の減免」

このページの関連キーワード 修学支援新制度 修学支援 給付型奨学金 返済不要 奨学金 学費減免

高等教育の修学支援新制度を理解しよう

最終情報更新日:2025年9月25日

2020年度から給付型奨学金に加えて入学金と授業料の減免支援をおこなう「高等教育の修学支援新制度」が始まっています。 創設当初は、住民税非課税世帯など特に経済的に厳しい家庭だけが対象でしたが、2024年度には条件付きで中間所得層まで対象が広げられました。 さらに、2025年度からは所得制限を設けずに3人以上扶養する子どもがいる多子世帯への学費の満額減免支援が始まるなど、支援対象と条件の緩和が広がっています。

高等教育の修学支援新制度の学業成績と家計基準

修学支援新制度では、給付型奨学金と学費の減免の2つの支援が受けられます。 ただし、支援を受けるためには日本学生支援機構の給付型奨学金に採用されることが前提になります。 給付型奨学金も「家計基準」と「学力基準」の両方を満たす必要があります。

給付型奨学金の学力基準

給付型奨学金の学力基準は「高校の成績3.5以上」か「学修意欲が認められる」のいずれかに該当することとなっています。 つまり、3.5未満であっても学修意欲が認められると学力基準はOKということになります。 修学支援新制度は、学力よりも家計基準が重視されると考えていいでしょう。

給付型奨学金の家計基準

厳密には給付型奨学金の家計基準は、保護者と学生本人の住民税情報と資産額により判定されます。 2023年度までは、「住民税非課税世帯」と「それに準ずる世帯」のみが対象でしたが、2024年度からは「中間所得層世帯」まで対象が広げられました。 その結果、家計基準に応じて4段階の支援割合がとられます。

住民税非課税世帯は第1区分に分類され、給付型奨学金と学費減免の両方の満額支援が受けられます。 家庭の収入に応じて4段階の支援割合となっています。 そこで、文科省の資料から家族構成ごとの収入基準の目安額を見てみましょう。

高等教育の修学支援新制度の家計審査では、「資産要件」も設けられており、ひとり親、ふたり親など生計維持者の人数に関わらず、資産5000万円未満となっています。 また、当該ページで後に解説する第4区分の中間所得層の収入以上の区分超過の多子世帯に対する資産要件は3億円未満となっています。

給付型奨学金と学費の減免の具体的な支援額

高等教育の修学支援新制度の採用区分ごとの具体的な支援額は次の通りです。

給付型奨学金は、進学先が国公立か私立か、自宅生か自宅外生かにより給付額が異なります。 そして、自宅生に比べて自宅外生の方がほぼ2倍の給付額となっています。その理由は、給付型奨学金は生活費支援に位置付けられているからです。 この支援により、県外進学の選択肢が広がるといえるでしょう。 また、後に解説しますが、第4区分の採用者で給付型奨学金が受けられるのは「多子世帯」のみとなっています。 次に学費の減免支援額を見てみましょう。

給付型奨学金は学校種別に関わらず給付額が決められていますが、学費の減免支援は、大学、短大、専門学校により支援額が異なります。 また、減免されるのは「入学金」と「授業料」のみであり、「施設設備費等」は減免支援の対象外となっています。

第4区分の対象と支援内容

第4区分は社会構成上のボリュームゾーンと呼ばれるいわゆる「中間所得層世帯」を対象に2024年度から開始されました。 ただし、全ての中間所得層世帯ではなく、3人以上扶養する子どもがいる「多子世帯」と「私立理工農系」分野への進学家庭に限られます。 また、多子世帯は給付型奨学金と学費の減免の両方の支援が受けられますが、私立理工農系分野の進学者は学費の減免支援のみとなっています。

多子世帯への支援拡充(2025年度~)

2025年度からは高等教育の修学支援新制度の対象がさらに拡充されました。 内容としては、3人以上扶養する子どもがいる多子世帯へは、所得制限を設けずに入学金と授業料の満額減免支援をおこなうというものです。 そのため、第1区分~第4区分に採用された多子世帯では、給付型奨学金に加えて学費の満額減免支援が受けられます。 また、家計基準超過の多子世帯は学費の満額減免支援のみが受けられることになります。

高等教育の修学支援新制度

給付型奨学金の申込み方法

高等教育の修学支援新制度の支援を受けるためには日本学生支援機構の給付型奨学金への申請が前提になります。 給付型奨学金の申請は貸与型奨学金と同じタイミングで申請できます。 申込み方法は高校3年生時点で申請する「予約採用」と「在学採用」の2つがあり、現在奨学金利用者の7割か予約採用で申請しています。

申請から支援開始までの流れ

高等教育の修学支援新制度は、「給付型奨学金」と「学費の減免支援」がセットと謳われています。 ところが、それぞれ支援の実施主体が異なるいわゆる縦割りの仕組みになっています。

予約採用での給付型奨学金の採用者は大学等入学後に「進学届」をおこないます。 これにより高等教育の修学支援新制度の権利が確定することになります。進学届が完了すると学生本人に奨学金が直接支給されます。 ところが、学費の減免支援は、入学した大学等を通して「減免申請」の手続きをおこなう必要があります。 そのため、それぞれの支援の開始時期にタイムラグが生じると考えておいたほうがいいでしょう。

給付型奨学金の注意点

1家計基準超過の多子世帯も給付型奨学金の申請が必要

2025年度からは、所得制限を設けずに多子世帯への学費の満額減免支援が始まっています。 そのため、例え世帯年収が1億円の多子世帯も資産要件を満たすなら、学費の満額減免支援が受けられます。 ただし、その場合でも日本学生支援機構の給付型奨学金を申請しなければなりません。当然、給付型奨学金は不採用になりますが、そのような手続きが必要になります。

2無利子の第一種奨学金の利用が制限される

日本学生支援機構の給付型奨学金の採用者が、貸与型の無利子の第一種奨学金を併用する場合は貸与月額が制限され、これを「併給調整」と呼んでいます。

貸与可能月額は、大学、短大、専門学校ごとに設定されていますが、第1区分から第3区分までの採用者は「ゼロ円貸与」として実質的に第一種奨学金が利用できないと考えてください。 ただし、有利子の第二種奨学金の貸与月額に制限はかけられていません。

3成績基準の厳格化

高等教育の修学支援新制度の入口となる給付型奨学金の学力基準について、採用段階では「学修意欲が認められれば学力基準はOK」とされています。 そのため、実質的に学力基準は無しとも言えますが、進学後は別だということを理解してください。

日本学生支援機構の奨学金では、貸与型、給付型ともに毎年夏ごろに継続審査があり、これを「適格認定」と呼んでいます。 適格認定では、成績と家計基準をもとに継続審査がされ、その年の10月から翌年9月までの支援の継続が判定されます。 実は2025年度から、適格認定における給付型奨学金の成績基準が厳しくなりました。

学業成績要件は2025年度から上記のようになりましたが、では厳格化以前の適用割合は以下の通りです。

実に10人に1人以上が「警告」認定を受けています。 翌年も成績が向上しなければ、停止または廃止となる可能性があるので、給付型奨学金を受ける以上は、他学生以上に真面目に学修に向き合う姿勢が求められると言えます。

4認定取消し大学の増加

高等教育の修学支援新制度を受けるためには、「学業成績」と「世帯の収入」の両方の基準を満たす必要があります。 実は、学生だけでなく大学、短大、専門学校サイドも適正基準を満たさなければなりません。 文部科学省では、対象(機関)要件を満たせずに対象外となった大学等を公表しています。 学生側が給付型奨学金に採用されたとしても進学先の大学等が対象外の場合は、給付型奨学金+学費の減免支援が受けられないので、前もって確認しておくことが大切です。

参考ページ
文部科学省 認定取消し校の公表  »

5第4区分・私立理工農系は学科ごとの認定

高等教育の修学支援新制度の第4区分では、私立理工農系分野への進学者に対して学費の減免支援をおこないます。 一般的に私立理工系は文系に比べて学費が高いため、文系学費にあわせて減免支援をおこなうという目的だと思います。 ただし、私立理工系は学校に対しての認定というよりも「学部・学科に対する認定」ということになります。 そのため、自身の志望校の学部・学科が認定を受けているかどうかを前もって確認しておくことが大切です。

参考ページ
文部科学省 私立理工農系(第4区分)確認  »

このページの著者

奨学金アドバイザー

久米忠史

くめ ただし

1968年生まれ
東京都江戸川区在住

奨学金講演を毎年100回以上行っている
奨学金アドバイザー久米忠史が生徒や保護者の生の声を聞き、少しでも奨学金についての理解を深めてもらえるように情報をまとめました。

もしあなたの周りに「奨学金」の事で悩んでいる方がいらっしゃいましたら、是非このホームページを紹介してください。 きっとお役に立てるはずです。

Twitterでシェアする

Facebookでシェアする

LINEで送る

はてなブックマークに登録する

パソコン版表示
に切り替える

スマホ版表示
に切り替える