ネット上では"奨学金を踏み倒せ!"といった言葉を目にすることがありますが、実際はどうなのでしょうか。
踏み倒すという言葉には嫌悪感を持ちますが、機関保証を選択していれば出来ないことはないでしょう。
しかし、人的保証を選択していると、とても踏み倒すことができるものではないということがわかります。
厳しい状況に置かれている人の救済は絶対に必要ですが、
「返せるのに返さない」人が増えると将来の子ども達に迷惑をかける可能性があることを自覚して欲しいと思います。
では、滞納者への対応の流れを見てみましょう。
奨学金滞納者への対応の流れ
滞納3ヶ月まで
滞納1ヶ月から3ヶ月までは、日本学生支援機構から返済の督促を受けます。
滞納4ヶ月目から
3ヶ月滞納が続くと4ヶ月目から個人信用情報機関(ブラックリスト)に登録されます。
それと同時に、日本学生支援機構から民間の債権回収会社に回収業務が移管され、引き続き督促を受けることになります。
滞納9ヵ月目以降
債権回収会社からの督促をそれでも無視し続けると、9ヵ月目には日本学生支援機構から「支払督促申立予告」(しはらいとくそくもうしたてよこく)の通知が郵送で届きます。
支払申立予告とは、「このまま連絡がなく滞納を続けると裁判所に訴えますよ」という意味です。
では、支払申立予告を受けた後はどのようなことになるのでしょうか。
一連の流れを図にしたのでご覧ください。
「支払督促申立予告」とは、"このまま滞納が続くと裁判所に訴えます。相談に応じるので連絡をください"という意味で、日本学生支援機構から書面が郵送されてきます。
それに対して、一定期間以内に連絡が無ければ"応答なし"と判断され、裁判所から「支払督促申立」が通知されます。この時点で法的対応にはいったことになります。
その後は、機構と本人が返済方法を相談する「和解」か、裁判所の判決をもとに法的措置に入るか、いずれかの流れとなります。
支払督促申立予告を受けて連絡をした場合は"応答あり"と判断され、返済あるいは猶予申請についてのやり取りを機構と行うことになります。
奨学金とはいえ、滞納した場合は、一般の金融契約と同じようにリスクを背負う仕組みになっていることを理解してください。
【ことば解説】
期日到来分・・・・本来の返済期日が過ぎている返済金のこと
期日未到来分・・・返済期日が未だ来ていない返済金のこと
日本学生支援機構からの通知を無視しない!
奨学金の滞納理由で最も多いのが「低収入」「生活苦」なので、日々の生活だけで一杯になっている人も多くいると思います。 また、精神的に追い詰められ、借金から目を逸らしたいと思う気持ちもわかります。 ただ、猶予が認められれば滞納者にはならず、その間の延滞金や利息も免除されるので、日本学生支援機構からの郵送書類は必ず開封して目を通すようにしてください。
滞納が続くと元本が減らない可能性がある!
滞納金には5%の延滞金(2014年3月以前分は10%)が加わります。長期の滞納者の場合、延滞金が膨れ上がっていることがあります。
返済金が充てられる順位は、「延滞金」→「未払利息」→「元金」となっているので、いつまで経っても元金が減らないという事態に陥りかねません。
奨学金が簡単に踏み倒せるようなものではないということをご理解いただけたでしょうか。
ネット上のいい加減な情報に惑わされることなく、奨学金のリスクとリスク対策をキチンと理解して臨んで欲しいと思います。
滞納金が膨れ上がり、苦しんでいるかたへ
様々な事情で滞納金が膨れ上がってしまったかたは、一人で悩むよりも法律の専門家に相談したほうがよい場合があります。 経済的に厳しいかたのために「法テラス」という制度があるので、まずは相談してみてはどうでしょうか。
参考ページ 日本司法支援センター「法テラス」 »
参考ページ 奨学金問題対策全国会議 »