奨学金なるほど相談所

講演・取材のご依頼

進学費用メール相談

  • HOME
  • 奨学金についてきちんと知る

  • 動画で解説!奨学金
  • すっきり解決Q&A
  • 奨学金講演日程と実績
  • 久米忠史執筆・著作
  • 奨学金なるほど相談所運営法人概要
    • 奨学金講演について

久米忠史のコラム

久米忠史のコラム

【vol.003】 久米忠史の奨学金コラム 2010.07.30]

初年度納付金が過去最高額に

1991年のバブル崩壊以降、世帯の収入は減少を続けています。 サラリーマンの平均年収が400万円とか500万円とか言われていますが、本当でしょうか。

僕の友人だけ見ても、都銀や大手メーカーに勤めている者は1000万円以上の年収はめずらしくないようですが、零細企業に勤めている者は300万円台というのも現実によく聞きます。 さらに最近では、働く人の20%が年収200万円以下となっているとも言われるようになりました。

日本は中小零細企業で成り立っています。全企業の実に99.7%が中小零細企業であり、大企業と言われるのは0.3%しかないのです。 当然、大企業と中小企業の雇用数はイコールではないので、大企業の労働者数が0.3%という訳でありませんが、中小零細企業に勤める人の方が圧倒的に多いはずです。

お父さんの給料やお母さんのパート収入が減るから支出を絞ろうとします。 するとモノが売れなくなるので、メーカーや小売店は価格を下げるようになります。 牛丼の値下げ競争が分かり易い例だと思います。これが世間でいうデフレ現象でしょう。

今、一般の方々が消費する必要なもので価格が上昇しているものはあるでしょうか。

先日、文部科学省からショッキングなデータが出たそうです。
少し長くなりますが、僕が定期購読している高校の教員向けのメルマガ「エイビ教育ニュース」からの記事をそのまま紹介します。

~私立大の初年度納付金が過去最高額になる~

文部科学省は、私立大の初年度納付金について定期的に調査を行っているが、このほど2009年度の調査結果を発表した。それによると、私立大入学者の授業料は平均85万1,621円で前年度比0.4%増。これに入学金と施設設備費を合わせた初年度納付金は、前年度比0.2%増の131万2,146円であった。授業料、初年度納付金とも、1975年の調査開始以来、過去最高額を記録した。

なお、この平均納入額は、全国の私立大595校のうち、回答のあった530校のデータを加重平均した額となっている。入学金は前年度比0.5%減の27万2,169円、施設設備費は同0.6%増の18万8,356円。 このうち入学金は、入学辞退を巡る入学金返還訴訟などの影響で、2000年度から減少傾向にあるが、授業料と施設設備費は年々増加している。国立大1部の平均81万7,800円と比較すると、格差が目立つが、私立大の場合は学部系統によって学費が大きく異なり、文系より理系が高く、医歯系では800万円を超える。 私立短大の場合、授業料は69万1,257円(同0.6%増)、入学金は25万3,112円(同0.7%減)、施設設備費は18万6,717円(同0.5%減)で、初年度納付金は計113万1,086円(同0.1%増)であった。

以上に学生生活費を加えてみると、一般家庭が負担する経済苦は想像を絶するものがある。高等教育を支える財政基盤についても、手厚い施策が望まれる。

入学初年度だけ徴収される入学金は減少しているようですが、毎年必要な授業料、施設費が値上がりしているのなら、意味ないですよね。

個人的に聞いた話ですが、有名大学、難関大学の職員の給与は世間と比較して非常に高給だそうです。大学の支出に占める最も大きい項目が人件費です。

一般的にはあまり知られていませんが、多くの大学は国から毎年巨額の補助金を受け取っています。 何と100億円以上ものお金を毎年受け続けている大学もあるのです。しかも、本来補助金は不要なはずの有名大学、人気大学ほど補助金の額が多いのです。

大学の収入の基礎が「授業料等収入」と「補助金」です。 つまり、保護者または学生が払う事業料と保護者が払っている税金から賄われる補助金で成り立っているのです。

ならば、このご時世、大学自らもコストダウンに努める努力が絶対に必要なはずです。

今、民主党政府が行っている事業仕分けを象徴に税金の無駄遣いに対して国民の関心が高まっています。 ある意味、「教育」という聖域には誰もが踏み込みにくい分野でしょう。しかし、多くの家庭にとって大きな負担になっている現実を見ると看過できない問題だと思います。

大学全入時代を目前に控えた今、大学が倒産する時代に入りました。 僕自身の小さな見聞ですが、教職員ともに必死に努力している中小規模の大学はたくさんあります。 最も補助を必要としている大学に十分な支援が回っていない現状があるのではないかと感じています。

知名度や規模の大小を問わず、良質な教育を図ろうとしている大学を応援すべきです。 これは専門学校でも同じだと思います。

まずは、高額な補助金を受け取っている有名大学、人気大学から襟を正さなくてはなりません。 大学のオーナーには自身の職員に賞与を払う前に、10分だけ真剣に考えて欲しいです。 授業料を払ってくれている自学の学生の保護者は、いったい幾らの賞与をもらったのだろうかと・・・。

そろそろ、高額な大学の学費が社会問題化する頃ではないでしょうか。

パソコン版表示
に切り替える

スマホ版表示
に切り替える