【vol.008】 久米忠史の奨学金コラム [2011.02.02]
第24回沖縄県高等学校進路指導研究大会
さる1月28日、24回目となる「沖縄県進路指導研究大会」にゲスト講師として招かれました。 当日は全国的に大寒波が襲来し、沖縄でも例年に比べ6℃以上も低い気温。沖縄は暖房設備の無い施設が多いので、時には本土以上に寒く感じることがあります。
そんな厳しい寒さの中、宮古島など離島も含めて50校以上の高校の進路主任が集まりました。
研究実践発表として、3校の進路主任がスライドを使って進路指導の実態を報告。やはり、リーマンショック以降、就職率、進学率ともに厳しい実態が続いていることが分かります。特に金銭的問題で進学を諦める学生が増えているという言葉が印象的でした。
各高校の進路指導報告の後、最後の1時間が私の講演。 普段、高校生や保護者に対しては、奨学金や教育ローンの仕組み、ポイントと注意点など所謂How toを中心に話していますが、今回は先生方対象なので、より具体的に突っ込んだ内容としました。
①設置数、進学率の上昇と人口減少に見える大学の実情
②学費と生活費の実態
③日本学生支援機構の制度転換について
④独自奨学金の具体例
⑤利息から見た奨学金と教育ローンを上手く活用する方法
⑥教育ローンの分類とその特徴
⑦新聞奨学金の注意点とその対策
⑧社協、母子福祉資金、修学資金の仕組みについて
このような流れで取材実例や提言など、なかなか誌面では書けないことなども本音で話をさせていただきました。
私を見る先生方の眼差しは真剣そのもの。高校生や保護者の講演会では、クイズも交えて飽きないよう、少しでも印象に残るように進行しますが、今回は遊びが全く無しのガチンコの内容で新たにスライドを作成しました。
壇上から見ると、先生方の表情がよくわかります。頷きながら聞いてくれている方、腑に落ちない表情の方などさまざまです。いつものことですが講演の中盤からは、私自身話し方に熱が入ってきます。それと共に空気がピンと張り詰め、全身で聞いてくれていることが感じられます。特に新聞奨学制度の実態を話すところでは、涙を浮かべている先生もいらっしゃいました。生徒のことを思い出したのかも知れません。
実質値上がり続ける大学の学費。
先進国の中で唯一、公的な給付制奨学金制度を持たない日本。
今年から採用基準が厳格化される国の奨学金。
将来の投資の為の奨学金が逆にリスクとなってしまう可能性があることを否定できません。
しかし、だからこそ、様々な制度を上手く活用し、リスクを最小限に抑えて進学する術を伝えていくことは大切な役目だと思っています。