【vol.013】 久米忠史の奨学金コラム [2011.06.27]
あまり知られていない留学生の奨学金事情
2011年6月24日 エイビ教育ニュースフラッシュより
~東日本大震災で被災した専門学校生へ国が授業料補助~
文部科学省は、このほど第1次補正予算で「被災児童生徒修学支援等臨時特例交付金」として約113億円の予算を組んだ。
幼稚園、小・中学校、高等学校、私立学校、特別支援学校のほか、専修学校の学生にも授業料補助等の支援を決定した。
東北地方は専門学校への進学率が高く、仕事に直結する技術を学ぶ専門学校生への支援は、復興支援にもなるという点が考慮された。
専門学校生への授業料補助は、専修学校制度の中で初めての試みで、被災地域の若者にとっては大きな朗報だ。
対象は、被災して授業料の納付が難しくなった専修学校の学生。学校が被災地でなくても、実家が被災していれば対象になる。
専門課程の場合は授業料と入学金の3分の2を補助。高等課程は全額を補助する。
専門学校進学率が高い東北エリアならではの緊急施策でしょう。
学生にとってはもちろんですが、大学と比べて公的補助金の少ない専門学校側にしてみても有り難い話だと思います。
あまり知られていないのですが、日本で学ぶ留学生に対して政府は大盤振る舞いを続けています。
<日本の留学生数:平成19年度日本学生支援機構発表>
約11万8千人(うち8万8千人が中国と韓国からの留学生)
<国費留学生の場合>
往復渡航費、住居、受験料、学費 全て無料
月額12万5千円~15万2千円を奨学金として給付 新規募集人数:約6,000名
<私費留学生の場合>
月額4万8千円~6万5千円を奨学金として給付 募集人数:12,500名
※応募資格 「仕送り額が月9万円以下であること」 「扶養者が在日している場合、年収が500万円未満であること」
留学生に対しては公的な制度以外でも、地方自治体、民間団体など、日本人以上に充実した奨学金制度が設けられています。
国費留学生はまだしも、私費留学生の内容については少し気になりますね。
意欲を持った学生が日本で学び、自国に帰って活躍してくれることは日本の将来にとってもプラスになることが多いと思います。さらに一生懸命に勉強に取り組む留学生を間近で見ることは、日本の学生にとっても良い刺激となるでしょう。
とは言っても、多くの家庭が進学費用に悲鳴を上げている日本の現実を見ると複雑な気持ちになってしまうのです。
前述の留学生に対する条件以下の環境でも必死に頑張って進学している日本の家庭は多くあります。日本人学生の大半が有利子の奨学金を借りて進学している現実を考えると、留学生向けの奨学金についても時代に合せて見直す時に来ているのではないでしょうか。