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久米忠史のコラム

久米忠史のコラム

【vol.019】 久米忠史の奨学金コラム [2012.10.02]

学力は高くとも大学進学率が低い東北

8月後半から9月前半にかけて、岩手、秋田、宮城、山形、福島と東北地区の進学相談会に呼んでいただき奨学金講演会と個別相談をおこないました。
あくまでも個人的な感覚ですが、何人もの保護者や高校生と面談して「しっかり考えている人が多いな」と感じることの多い印象的な地域でした。

周知の通り、岩手、宮城、福島は先の大震災で甚大な人的、経済的被害を受けた地域です。 現に東北地区の大学進学率が前年比で9.3%下がったことが、文部科学省より先日発表されました。

そこで、地域の学力について調べてみたところ興味深いことがわかりました。
文部科学省では2007年から、小学6年生と中学3年生を対象に全国学力・学習状況調査を実施していますが、実はその上位を東北・北陸地方が独占しているのです。

<2012年全国学力調査 ベスト5>
1位 秋田県
2位 福井県
3位 石川県
4位 富山県
5位 青森県
***********************
46位 大阪府
47位 沖縄県

ついでに他のデータも調べてみました。

これを見ると、北陸地方の有効求人倍率の高さが目を惹きます。
決して年収は高くありませんが、働くことについては安定した環境が整っているのでしょう。暮らし満足度ランキングでも毎年トップランクに入っていることもこの数字を見ると納得できますね。

一方、学力1位の秋田県と5位の青森県はどうでしょうか。 不安定な労働環境とそれに伴う収入の低さが想像できます。 青森県民の平均年収は全国一低い沖縄県とほぼ同水準です。

秋田県と青森県の大学進学率の低さと、平均の倍程度という高卒就職率の高さの背景には、お金の問題が大きく影響しているはずです。

高校生への求人者数はこの20年間で5分の1まで縮小し、その選択肢は確実に少なくなっています。
おそらく秋田県や青森県の高卒就職者は、他府県の高卒就職者と比べても能力や忍耐度が優れているかも知れませんが、本人が大学志望であったならば残念なことですし、極端な話、日本にとっても損失ではないかとまで思います。

憲法が保障する「教育の機会均等」に沿うならば、少なくとも意欲や能力の高い学生が安心して学ぶことができる社会になって欲しいですね。

もうひとつ、同じ項目で東京都と大阪府のデータを見ると、この国の歪さが見えてきます。

まず気になったのが、東京都の高卒就職率の異常な程の低さです。
大学進学率がナンバーワンであることを差し引いても、フリーターを安易に選択していることが想像できます。

続いて大阪府。
学力が沖縄に次いでワースト2であるにも関わらず、大学進学率は全校平均を5ポイント近く上回っています。沖縄県の大学進学率が36.2%であることを考えると、大阪では中高と全く勉強をしなかった学生でも大学に進学できているのでしょう。

日本の地域経済力1位と2位を占める東京都と大阪府の姿は明らかに異常です。
少なくとも教育に関しては、東京や大阪から地方が学ぶことは何ひとつないと言い切ってもいいのではないかと思います。

東京や大阪は、たまたま、近代国家の成立の過程で、経済や政治的に重要拠点となったお陰で、地方ほど努力せずとも成長することができたことは明白な事実でしょう。

秋田県の国際教養大学のように新設大学でありながらも、コンセプトを明確に掲げ、リーダーや職員が地域と一体となって取り組んだ結果、本来の人材育成に成功している例もあります。

なぜ、北陸地方の学生は学力が高いのか。
なぜ、北陸地方は暮らし満足度が高いのか。
なぜ、秋田県や青森県は学力が高くとも大学進学率が低いのか。
このことをいま一度突き詰めて考えていくと、日本の教育の向かうべき方向が見えてくるのではないかと思います。

<出典>
・文科省「2012年全国学力調査」「学校基本調査」
・厚労省「賃金構造基本統計調査」

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