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久米忠史のコラム

久米忠史のコラム

【vol.028】 久米忠史の奨学金コラム [2013.08.06]

日本学生支援機構奨学金・改善すべき現行制度の課題
「第一種奨学金の収入基準が生み出す矛盾」

奨学金利用者の80%が利用しているのが日本学生支援機構の奨学金です。 日本学生支援機構の奨学金には、無利子の奨学金と有利子の奨学金と2種類があります。

日本学生支援機構の奨学金は返済が必要。つまり借金です。
同じ借金ならば無利子の方が良いに決まっています。

しかしながら、無利子の第一種奨学金の採用率は4人にひとり程度の狭き門となっているので、第二種の利用者の中には、 「第一種を希望したが、選考に漏れてしまい仕方なく第二種を利用している」という人が存在しています。

以前から給付制奨学金制度の創設が求められていますが、そのためには財源をはじめ超えなくてはならないハードルが高く、一朝一夕に解決できる問題ではありません。

現実的な前進案として「無利子奨学金枠の拡大」が毎年の課題として掲げられており、実際2~3年前まで5人にひとり程の採用率であったものが、少しずつ改善はされているようです。
しかしながら、現場の声を訊いていると、文部科学省、日本学生支援機構が力を注いでいる無利子奨学金の拡大に大きな矛盾点が見えてきました。

まず、2011年度の予約採用と在学採用の採用実績数を見ていきましょう。

<予約採用>
第一種奨学金/32,000人
第二種奨学金/208,000人

<在学採用>
第一種奨学金/53,000人
第二種奨学金/64,000人

単純に数字を見ると、在学採用の方が無利子の第一種奨学金の採用率がはるかに高いことが分かります。

だからこそ僕は講演では、「予約採用で第二種奨学金の採用となってしまった人も在学採用に再チャレンジできるので諦めないでね」といつも話しています。

しかし、複数の大学の奨学金担当者と話をしていると、今年度は在学採用での第一種奨学金の採用枠が余っている大学が多いことが分かりました。

同じ借金なら無利子の方が良いに決まっているのに、なぜ無利子の第一種奨学金の採用枠が余るという事態になったのか? おそらく利用者の本音は、「できれば無利子の奨学金だけで賄いたいが、必要な金額に不足するので仕方なく有利子の第二種に頼っている」というものだと思います。

私立大学の場合の貸与金額を確認してみましょう。

自宅生 54,000円/月  年間648,000円
下宿生 64,000円/月  年間768,000円

国公立であれば何とかなるでしょうが、私立の場合は文系でも年間100万円程の学費となるので、これではお金が不足することが容易に想像できます。

奨学金を学費対策の柱としている私立大学の学生にすれば、現実的には月額10万円は必要でしょう。 そのような学生の理想の借り方は、「第一種奨学金+二種奨学金の月額30,000円」だと思います。

実際、アベノミクスによる利息の上昇に備えて、奨学金の利息にも敏感になって、少しでも返済利息を少なくしたいと考える人が増えていることを感じています。 しかしながら、第一種と第二種の併用貸与の大きな壁となるのが家庭の収入基準です。

第一種奨学金だけを借りるのに比べて、“第一種と第二種の併用を申し込む”には家庭の収入基準の上限がより厳しくなっています。

そのため、「成績、家庭の収入ともに第一種奨学金の基準を満たしているが、第一種と第二種の併用の収入基準は満たしていない為に、仕方なく第二種奨学金を希望している」 という学生が増えたことが、在学採用の第一種奨学金の採用枠が余る原因のひとつになったのではないかと想像します。

日本の地域経済力1位と2位を占める東京都と大阪府の姿は明らかに異常です。
少なくとも教育に関しては、東京や大阪から地方が学ぶことは何ひとつないと言い切ってもいいのではないかと思います。

また、「予約採用者は在学採用で再チャレンジできる」ということを多くの学生が知らないということも要因に挙げられるかもしれません。
日本学生支援機構の今後のテーマとしては、第一種奨学金の貸与枠数の拡大だけでなく、貸与月額の増額も重要な検討課題となるでしょう。

同時に大学側も、予約採用をした新入生に対しては単に事務処理対応するだけでなく、在学採用への再チャレンジなど、利用者のニーズにあった指導を行うことも大切ではないかと思います。

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