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久米忠史のコラム

久米忠史のコラム

【vol.029】 久米忠史の奨学金コラム [2013.08.09]

文科省「平成25年3月卒・学校基本調査」
~大卒者の就職状況に見る奨学金返済と沖縄の問題~

8月7日に文部科学省が発表した学校基本調査(速報値)から、今年の3月に高等教育機関を卒業した人の正規雇用としての就職率を調べてみました。

まずは学位別の正社員就職率から

大学 / 74.48%
大学院(修士) / 78.48%
大学院(博士) / 51.38%
短大 / 72.81%
高専 / 96.32%

これを見ると、大学や短大を卒業した人の25%以上が非正規雇用、または就職できていないという状況が見えてきます。

それにしても、高専の就職率の高さが際立っています。
カリキュラム自体がそうなのでしょうが、早くから職業意識を持って学ぶことが就職へのアドバンテージとなっているのでしょうね。

25%とは、大学生の4人にひとりということです。
現在、大学生の3人にひとりが日本学生支援機構の奨学金を借りているという事実と照らし合わせると、卒業と同時に奨学金地獄に陥ってしまう若者が相当数いることが想像できます。

次に、大学生に絞って、都道府県別の数字を調べてみました。
ここでは、正規雇用での就職率を「A」とし、併せて大卒無業率を「B」として並べてみます。 まずは正規雇用就職率の上位5県から。

1位 福井県 A(88.92%) B(7.78%)
2位 秋田県 A(86.39%) B(9.15%)
3位 石川県 A(83.89%) B(13.06%)
4位 富山県 A(83.61%) B(12.54%)
5位 青森県 A(83.03%) B(12.92%)
-------------------------------------
全国平均   A(74.48%) B(19.09%)

この大卒就職率ランキングの上位5県を見て、何か気づきました?

僕も心の底では想像はしていましたが、今回の順位を見て、正直「やっぱり・・」と思いました。
この大卒就職率のランキングは、小学6年生と中学3年生を対象に文部科学省が実施している「全国学力・学習状況調査」の結果と見事に重なっているのです。

ちなみに、2012年度の全国学力調査は、1位(秋田県)、2位(福井県)、3位(石川県)、4位(富山県)、5位(青森県)の順です。
東北地方にも奨学金の講演でよく呼ばれますが、青森も秋田も決して都会のように恵まれた環境ではありません。むしろ、暮らしていくにはより厳しい環境が多いと言ってもいいでしょう。

それでもこの数字を見ると、子どもの頃から自学自習をする習慣と基礎学力を身に付けることこそが、社会や企業から高く評価される人材を育てることの重要要素である、との仮説を立てることができるのではないかと考えます。

ベスト5を紹介したので、少し恐いのですが、就職率のワースト5を並べると、

43位 福岡県 A(71.70%) B(20.13%)
44位 大分県 A(71.03%) B(18.49%)
45位 山梨県 A(70.88%) B(21.54%)
46位 奈良県 A(70.20%) B(21.53%)
47位 沖縄県 A(46.60%) B(34.67%)
-------------------------------------
全国平均   A(74.48%) B(19.09%)

目を惹くのが、群を抜いた沖縄県の数字です。
これを見ると、大卒者の半数以上が「非正規雇用、または就職できていない」という状況ということが分かります。

もともと沖縄県には大企業がほとんどないうえ、昔から非正規雇用率の高い労働環境という地域事情はありますが、それにしてもこの数字は深刻です。
特に大卒の35%近くが無業者という実態は、明らかに社会問題の範疇あると考えてもいいでしょう。

沖縄の高校で数多く奨学金講演会を行っている僕にすると、ホントに心の痛くなるデータです。 見方を変えると、奨学金地獄に苦しむ若者を生み出す責任の一端は僕自身にもあると言えるかもしれません。

「奨学金は君たち(お子さん)が背負う大きな借金だから、安易に借りないで欲しい」 「でも、自分(お子さん)の将来に進学が必要であり、進学のために奨学金が必要であるならば、将来への投資として借金をしてでも自分磨くことはひとつの選択肢としてアリだ」と思います。

いつも講演の最後に言っている言葉ですが、僕自身がこの現実の数字をもっと深く受け止めて考える必要があると改めて思いました。

就職率5位の青森県と47位の沖縄県の民間の平均年収はほぼ同額です。
※厚労省2011年賃金構造基本統計調査/青森(332万円)、沖縄(323万円)

また、青森県は六ヶ所村、沖縄県は米軍基地と、両県はともに本土の負担を背負わされています。

沖縄の人からは批判されるかもしれませんが、同じ生活水準にありながら、学力、就職率に大きな開きがあるのは、子どもたちの将来に対する大人たちの責任感の違いにあるのではないでしょうか。

沖縄県の子どもたちの基礎学力向上に関しては簡単ではないと思いますが、就職率を上げるには県外企業への就職に重点を置くことで、それほど時間をかけずに改善できると考えています。

大学進学率を上げることが地域の発展、家族の幸せにつながるとは全く思いません。 最も大切なことは、「働き」「納税し」「次の世代を産み」「育てる」ことです。 それらのひとつが欠けても、夢ある将来のビジョンを描くことはできないでしょう。

沖縄と関わり始めて10年以上経ち、友人や知り合いも大阪や東京以上に沖縄の人の方が増えました。 でも、だからこそ、沖縄フリーク、沖縄エコ贔屓にはなりたくないとも意識しています。

沖縄の一番の問題は「働くこと」です。
大学や専門学校への進学は社会に出るための手段に過ぎません。

日本で最も奨学金の返済に苦しむ沖縄県の保護者・受験生に進学費用対策を伝えている自らの責任として、「就職サポート」分野へ一歩踏み出さなければならないと考えています。

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