すべての大学・短大、ほとんどの専門学校で申し込むことができるのが日本学生支援機構の奨学金です。 日本学生支援機構は、2004年に設立された文部科学省所管の独立行政法人で、それまで長らく奨学金事業を行なってきた日本育英会から業務を引き継ぎました。
日本学生支援機構奨学金の【種類】
日本学生支援機構の奨学金は、返済義務のある「貸与型」の制度ですが、無利息の「第一種」と僅かながら利息(上限3%)が付く「第二種」の2種類があります。
第一種奨学金の貸与額や採用基準は、「大学か専門学校か」「自宅生かひとり暮らしか」など進学条件により異なります。
一方、第二種奨学金の貸与額は、学校の種別や通学環境に関係なく、希望月額を自由に選択することができます。
また、第一種、第二種とは別に、入学初年度に一度だけ借りられる「入学時特別増額貸与」という一時金としての奨学金もあります。
日本学生支援機構の奨学金は、他の奨学金と併用することに制限を設けていません。 したがってもう一方の奨学金側が併用を認めていれば、日本学生支援機構と併せて利用することができます。
第一種奨学金
無利息の奨学金です。
学校の種別、通学形態により月々の奨学金の支給額が決められています。
申請にあたっては、成績基準が明確に設けられており、家庭の収入状況と合わせて審査されますが、
仮に基準を満たしていても全員が採用されるわけでない選抜型の奨学金であることを理解してください。
また、私立の大学や専門学校へ進学する場合、現実的には第一種の金額ではまかなえない場合が多いということも理解しておきましょう。
第二種奨学金
進学先や通学形態にかかわらず、月額3万円、5万円、8万円、10万円、12万円から希望する金額を自由に選択できます。
第一種とは異なり実質成績基準はなく、家庭の収入基準さえオーバーしていなければ誰もが採用される奨学金と考えていいでしょう。
第二種は返済時に利息が加わりますが、その上限は3%と定められており、また在学期間中は利息が発生しません。
奨学金利用者の7割以上がこの第二種を利用しているのが実情です。
入学時特別増額貸与奨学金
入学初年度(編入学の場合は入学年次)のみ、50万円を上限に一時金として借りられる利息付の奨学金です。 この奨学金は第一種、第二種とは異なった家庭の収入基準が設けられています。 また、"入学時"と冠がついていますが、この奨学金の支給も進学後となっているので、入学前の費用に直接充てることができないので注意しましょう。
第一種奨学金と第二種奨学金の併用
第一種と第二種の両方を同時に借りることを「併用貸与」と言います。
学力基準は第一種と同じですが、家庭の収入の上限基準が"第一種のみ"の場合よりも低くなるので、最もハードルの高いコースと考えていいでしょう。
日本学生支援機構奨学金の【貸与金額】
区分 | 大学 | 短大 | 専門学校 | |
---|---|---|---|---|
第一種 (無利息) |
国公立[自宅生] | 45,000円 | 45,000円 | 45,000円 |
国公立[自宅外生] | 51,000円 | 51,000円 | 51,000円 | |
私立[自宅生] | 54,000円 | 53,000円 | 53,000円 | |
私立[自宅外生] | 64,000円 | 60,000円 | 60,000円 | |
上記の金額か、3万円のいずれかを選択 | ||||
第ニ種 (利息付) |
3万、5万、8万、10万、12万円から選択 ※(私立[医・歯])12万円を選択した場合、4万円の増額可 ※(私立[薬・獣])12万円を選択した場合、2万円の増額可 |
|||
入学時 特別増額貸与 (利息付) |
10万、20万、30万、40万、50万円から選択 |
日本学生支援機構奨学金の【申込方法】
予約採用
高校3年次に在籍高校を通じて進学後の奨学金を予約する制度です。
申し込み時点で志望校が具体的に決まっていなくても申請できます。
高校3年次の4月から5月に必ず案内があるので、見逃さないように気をつけてください。
【申込窓口:在学・卒業高校】
※募集回数や締切り時期は高校によって異なるので必ず在籍高校に確認してください。
募集時期 | 種類 | 決定通知 | |
---|---|---|---|
1回目 | 5~6月頃 | 第一種奨学金、第二種奨学金 | 10月下旬 |
2回目 | 10~11月頃 | 第二種奨学金のみ | 2月下旬 |
在学採用
進学した大学や専門学校を通して申し込む方法です。
入学直後の4月に説明会が開かれ、募集は原則年1回だけなので、募集案内を見逃さないように注意してください。
【申込窓口:進学した大学や専門学校】
緊急採用(第一種奨学金)・応急採用(第二種奨学金)
主たる家計支持者が失職・病気・事故・会社倒産・死別または離別・災害等で家計が急変した場合にいつでも申し込むことができる方法です。
第一種を「緊急採用」、第二種を「応急採用」と呼んでいます。
奨学金の貸与月額は、第一種、第二種とそれぞれ同じですが、採用基準が通常よりも緩やかな条件となっています。
【申込窓口:進学した大学や専門学校】
日本学生支援機構奨学金の【申請条件】
成績基準
第一種 |
【予約採用】 高校1年から2年の成績が(5段階評価で)3.5以上 【在学採用】
新入生/高校2年から3年の成績が3.5以上 |
---|---|
第二種 |
【予約採用】【在学採用】ともに、以下のいずれかに該当するもの |
家庭の収入基準
日本学生支援機構奨学金を借りるにあたっての家庭の収入基準の目安です。
自分が志望する項目を確認してください。
【表を見る際の注意点】
- 14人世帯の目安です。表記金額以下の家庭が対象になるとお考えください。
- 2表記金額は、世帯の収入(両親共に収入がある場合は、双方の収入を合算)です。
- 3予約採用、在学採用(進路・通学形態)により条件が異なります。
- 4給与所得とは、サラリーマンや公務員など会社から毎月給料を支給されている人のことだと考えてください。
- 5給与所得以外とは、自営業者など毎年「確定申告」を行う人のことだと考えてください。
予約採用の場合
大学・短大・専修(専門) | ||
---|---|---|
区分 | 給与所得の場合 | 給与所得以外の場合 |
第一種(無利息) | 781万円 | 349万円 |
第二種(利息付) | 1,124万円 | 692万円 |
第一種と第二種の併用 | 720万円 | 306万円 |
入学時特別増額貸与 (利息付・一時金) |
以下のいずれかに該当した場合に借りられます。 ●収入が第一種、第二種とは別に定める基準以下の場合 ●国の教育ローンを借りることができなかった場合 |
在学採用の場合
大学 | ||||
---|---|---|---|---|
区分 | 給与所得の場合 | 給与所得以外の場合 | ||
第一種 (無利息) |
国公立 | 自宅 | 805万円 | 373万円 |
自宅外 | 849万円 | 417万円 | ||
私立 | 自宅 | 854万円 | 422万円 | |
自宅外 | 897万円 | 465万円 | ||
第二種 (利息付) |
国公立 | 自宅 | 1,121万円 | 689万円 |
自宅外 | 1,165万円 | 733万円 | ||
私立 | 自宅 | 1,170万円 | 738万円 | |
自宅外 | 1,213万円 | 781万円 | ||
第一種と第二種 の併用 |
国公立 | 自宅 | 716万円 | 303万円 |
自宅外 | 779万円 | 347万円 | ||
私立 | 自宅 | 784万円 | 352万円 | |
自宅外 | 827万円 | 395万円 | ||
入学時特別増額貸与 (利息付・一時金) |
●収入が第一種、第二種とは別に定める基準以下の場合 ●国の教育ローンを借りることができなかった場合 |
短大 | ||||
---|---|---|---|---|
区分 | 給与所得の場合 | 給与所得以外の場合 | ||
第一種 (無利息) |
国公立 | 自宅 | 790万円 | 358万円 |
自宅外 | 834万円 | 402万円 | ||
私立 | 自宅 | 837万円 | 405万円 | |
自宅外 | 880万円 | 448万円 | ||
第二種 (利息付) |
国公立 | 自宅 | 1,106円 | 674万円 |
自宅外 | 1,150万円 | 718万円 | ||
私立 | 自宅 | 1,153万円 | 721万円 | |
自宅外 | 1,196万円 | 764万円 | ||
第一種と第二種 の併用 |
国公立 | 自宅 | 695万円 | 288万円 |
自宅外 | 757万円 | 332万円 | ||
私立 | 自宅 | 762万円 | 335万円 | |
自宅外 | 810万円 | 378万円 | ||
入学時特別増額貸与 (利息付・一時金) |
●収入が第一種、第二種とは別に定める基準以下の場合 ●国の教育ローンを借りることができなかった場合 |
専修学校(専門課程) | ||||
---|---|---|---|---|
区分 | 給与所得の場合 | 給与所得以外の場合 | ||
第一種 (無利息) |
国公立 | 自宅 | 753万円 | 329万円 |
自宅外 | 801万円 | 369万円 | ||
私立 | 自宅 | 821万円 | 389万円 | |
自宅外 | 860万円 | 428万円 | ||
第二種 (利息付) |
国公立 | 自宅 | 1,077万円 | 645万円 |
自宅外 | 1,117万円 | 685万円 | ||
私立 | 自宅 | 1,137万円 | 705万円 | |
自宅外 | 1,176万円 | 744万円 | ||
第一種と第二種 の併用 |
国公立 | 自宅 | 653万円 | 259万円 |
自宅外 | 710万円 | 299万円 | ||
私立 | 自宅 | 739万円 | 319万円 | |
自宅外 | 790万円 | 358万円 | ||
入学時特別増額貸与 (利息付・一時金) |
●収入が第一種、第二種とは別に定める基準以下の場合 ●国の教育ローンを借りることができなかった場合 |